米実質賃金、過去1年は停滞=JPモルガン調査

米JPモルガン・チェース・インスティチュートは22日、物価変動を加味した実質賃金がこれまでの1年で年齢や所得層を問わず横ばいだったとする分析結果を公表した。写真は15日、米ロードアイランド州ノースキングスタウンの施設で撮影(2025年 ロイター/Lauren Owens Lambert)
[ワシントン 22日 ロイター] - 米JPモルガン・チェース・インスティチュートは22日、物価変動を加味した実質賃金がこれまでの1年で年齢や所得層を問わず横ばいだったとする分析結果を公表した。賃金は新型コロナウイルス流行期に一時急上昇したものの、全般的に見れば改善していないことも示された。
約2000万件の預金口座データから、所得水準と年齢別に個人の手取り収入について調べた。物価変動を加味した手取り賃金の上昇率は2022年に9%を超えた。ただ、19―25年を通した伸びで見ると、全体としての経済成長率よりも緩やかだった。コロナ禍初期は低賃金労働者の賃金上昇ペースが速かったものの、足元では所得層にかかわらず賃金上昇率がほぼ同じ水準で推移している。
「労働市場は堅調だったが、賃金上昇分がインフレによって相殺された。労働者はもっと生活が上向いたはずだと感じている可能性がある」と指摘した。
トランプ米政権による関税措置でインフレ再燃が懸念される中、消費支出の回復力につながる動向は、米連邦準備理事会(FRB)当局者にとっても重要な要素となりそうだ。
JPモルガン・チェース・インスティチュートのクリストファー・ウィート氏はインタビューで、勤労者は賃金動向や関税を巡る動きを把握した上で支出に反映するとしながらも「まだ直接的な影響は見られない」と述べた。