中国企業5社がシンガポール上場を計画、対米貿易摩擦で=関係者

中国本土と香港の企業少なくとも5社が今後1年ないし1年半の間にシンガポール市場で新規株式公開(IPO)による二重上場かもしくは増資を計画していることが分かった。写真は、シンガポール証券取引所前。2020年4月、場所はシンガポールで撮影(2025年 ロイター/Edgar Su)
[シンガポール 18日 ロイター] - 中国本土と香港の企業少なくとも5社が今後1年ないし1年半の間にシンガポール市場で新規株式公開(IPO)による二重上場かもしくは増資を計画していることが分かった。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。米中貿易摩擦が激化する中で東南アジアでの事業拡大を図るのが狙い。
シンガポール上場を計画している企業には、中国のエネルギー企業とヘルスケア企業、上海に拠点を置くバイオテック企業などが含まれているという。関係者はいずれも匿名を条件に情報提供し、企業名は伏せた。
シンガポール取引所(SGX)は不動産投資信託(REIT)など高利回り狙いの金融商品では高い人気を誇るものの、大規模な上場の誘致では苦戦しており、中国企業の上場計画は追い風になる。SGXのウェブサイトによると同取引所は昨年のIPOがわずか4件と、香港取引所の71件を大幅に下回った。
CGSインターナショナル・セキュリティーズのジェーソン・ソー氏によると、中国企業は米中貿易摩擦が高まっていることから東南アジア市場への参入もしくは同市場での事業拡大を目指し、その一環としてシンガポール市場での上場を計画している。トランプ米大統領が中国を標的として通商政策を強化してからというもの、SGXでの上場に関する問い合わせが急増しているという。
SGXのグローバルセールス・オリジネーション部門を率いるポル・デゥイン氏は「シンガポールは中国から海外に向かう貿易やビジネス活動にとって重要な玄関口であり、シンガポール上場はその重要な一部だ」と述べたが、中国や香港企業の具体的な上場計画には触れなかった。