ECB、デジタルユーロの法整備を「来年早期に全て完了」=専務理事

欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事は5月16日、ECBがユーロ圏でデジタルユーロ導入に向けた法整備を「来年早期までに全て完了させたい」とし、その後発行にこぎ着けるには「2、3年あれば十分だ」との見通しを示した。フランクフルトのECB本部で2017年4月撮影(2025年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事は16日、ECBがユーロ圏でデジタルユーロ導入に向けた法整備を「来年早期までに全て完了させたい」とし、その後発行にこぎ着けるには「2、3年あれば十分だ」との見通しを示した。会議で質問に答えた。
デジタルユーロはECBの保証するデジタルウォレットを通じてやりとりされる中央銀行デジタル通貨(CBDC)。ECBは導入に向けて数年にわたって取り組んできたが、進捗は想定より遅れている。一方、欧州はデジタル決済を米国の大企業に依存している脆弱性を抱えており、トランプ米大統領の復帰を受けて金融情勢が激変している中で開発加速が急務になっている。
チポローネ氏は欧州連合(EU)加盟国の政治的合意を得ることが大きなハードルになるとしながらも、今年夏までには合意に達する可能性があると指摘。一方、欧州議会での承認にはもう少し時間がかかる可能性があるとの認識を示した。
トランプ氏がデジタルユーロ発行に向けたプロセスを加速させる可能性を問われると、会議に同席したフランス銀行(中央銀行)のビルロワドガロー総裁はECBの決意を高めたと答えた。
ビザやマスターカードのようなクレジットカードで支払う場合とは異なり、CBDCでの決済は中銀に直接請求することになる。現金と同じ水準の機能と安全性を持つことになり、顧客はオンラインとオフラインのいずれでも直接支払えるようになる。