日鉄が物言う株主提案に反対表明、新たな株式報酬制度も発表

5月16日、日本製鉄は、アクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタルからの株主提案に対し反対を表明した。写真はロゴ、東京都内で昨年4月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Shiho Tanaka
[東京 16日 ロイター] - 日本製鉄は16日、アクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタル(SC、東京都渋谷区)からの株主提案に対し反対を表明した。ストラテジックは米USスチールなどの大型買収が実現した場合は業績連動報酬の基準額を見直すべきとしているが、日鉄は「新たな報酬制度が適切であると考えている」として、同時に業績連動型株式報酬制度の導入を発表した。
ストラテジックは4月に株主提案を日鉄に送付。6月の総会以降に買収する企業に関連して減損損失などが発生した場合、損失額を加味して代表取締役の業績連動報酬を算定し直し、減額支給するよう求めた。報酬の構成比を巡っては、株式報酬を導入するほか、USスチールなど大型買収が実現した場合、業績連動報酬の基準額を見直すべきとも訴えた。
これに対し日鉄は、全ての提案に反対を表明した上で、新しい業績連動型株式報酬制度の導入を株主総会で提案すると発表。取締役の報酬は現行、固定分に業績連動分を加えたものだが、新制度ではこれに株式価値と連動させた分を上乗せする。
日鉄は、報酬の一部を株式価値と連動させることで「取締役が株価の変動による利益・リスクを株主と共有した上で、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を一層高める」としている。