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NY市場サマリー(2日)ドル下落、株式続伸 利回り上昇

2025年05月03日(土)06時27分

<為替> ドルが下落した。ただ、2日発表された米雇用統計で雇用者数が予想を上回る伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)が夏ごろまで利下げを再開しないという市場の見方を裏付ける内容となったことを受け、円やユーロに対し下げ幅を縮小した。

4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から17万7000人増加。エコノミスト予想の13万人増を上回った。失業率は4.2%と前月から横ばいで、予想と一致した。

トランプ米大統領が大規模な関税措置を掲げる中でも労働市場が底堅く推移していると確認されたことを受け、金融市場が見込むFRBの利下げ再開時期が6月から7月に後ずれした。金融市場が織り込む6月利下げの確率は35.6%と、雇用統計発表前の約58%から低下した。

グレンミードの投資・調査・戦略責任者、ジェイソン・プライド氏は、雇用統計を受け、「FRBは年内の利下げに対しより忍耐強い姿勢を取ることが可能になるだろう」と指摘。「関税措置によるスタグフレーションリスクに直面する中、FRBは停滞とインフレのどちらが今後の見通しにとってより大きなリスクかをリアルタイムで見極めようとしている。労働市場の健全性が続いていることは、経済がすぐに崩壊するような状況ではないという安心感をFRBに与え、関税がインフレに与える影響を評価するための時間的余裕が生まれるだろう」と述べた。

ドル/円は下落したものの、下げ幅を縮小し、終盤の取引では0.3%安の145.05円。しかし週足では、ドルは2週連続で上昇する見込み。

ユーロ/ドルは上げ幅を縮小し、0.3%高の1.1326ドル近辺で推移。ユーロは週間では0.5%値下がりし、3月半ば以来最大の下げを記録した。

ポンド/ドルは横ばいの1.3280ドル。週間では、ポンドは0.3%下落し、2月終盤以来最大の下げとなった。

関税を巡るニュースも注目された。

ルビオ米国務長官は1日、FOXニュースの番組で、中国が通商交渉を望んでおり、協議が近いうちに行われるだろうと語った。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2日、中国が合成麻薬フェンタニルの米国流入を巡るトランプ政権の懸念に対応する方策を検討していると報じ、貿易交渉開始に向けた手がかりを模索している可能性を示唆した。  

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが1週間ぶりの水準に上昇した。4月の米雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、米利下げ再開時期の観測が6月から7月に後ずれした。

4月の非農業部門雇用者数は前月から17万7000人増加し、市場予想の13万人増を上回った。失業率は4.2%と前月から横ばいで、予想と一致した。

ブリン・モーア・トラストの債券ディレクター、ジム・バーンズ氏は「経済見通しを巡り不確実性があるものの、少なくとも今のところ雇用統計が持ちこたえていることで、市場にとっては幾分の安心感となる」と指摘。「米連邦準備理事会(FRB)が行動しなければならないという緊急性はやや薄れた」と述べた。

CMEのフェドウオッチによると、金融市場が織り込む6月利下げの確率は34%と、雇用統計発表前の約58%から低下した。7月利下げの確率は79%。

また、5月6─7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は2%にとどまっている。

雇用統計後に発表された3月の米製造業新規受注の伸びが市場予想を下回ったことも、利回り上昇に寄与した。

終盤の取引で、10年債利回りは4.326%に上昇した。1日としては4月11日以来の大幅な伸びとなる勢い。

2年債利回りも3.841%に上昇。1日としては4月9日以来最大の上昇となる見通し。

2・10年債利回り格差は約3ベーシスポイント(bp)縮小し、49bp。

来週実施される国債入札が注目される。米財務省は5日に3年債を580億ドル、6日に10年債を420億ドル、8日に30年債を250億ドルの入札を実施する。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 続伸して取引を終えた。力強い経済指標と米中間の貿易摩擦の緩和の可能性に支えられ、週次でも2週連続で上昇した。

米労働省が2日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、ロイター調査によるエコノミスト予想の13万人増を上回った。

中国商務省は2日、トランプ米大統領が打ち出した関税引き上げ措置を巡って、米政権側からの協議の申し出を「評価」していると表明。貿易戦争に緩和の兆しが出てきた。

米中の貿易戦争に投資家は神経を尖らせている。それでも、トランプ大統領が一部関税を撤回したことで米株指数は最近の下落から回復した。ハイテク株中心のナスダック総合指数は、大統領が大規模な関税を発表した4月2日の「解放記念日」以前の水準で取引された。

ニューヨークのグレート・ヒル・キャピタルの会長、トーマス・ヘイズ氏は「今日の出来事は、経済が人々が考えていたよりもはるかに強く、関税懸念に直面してもかなり耐性があるということを物語っている」と語った。

アップルは4%近く下落。自社株買いプログラムを100億ドル縮小したうえ、税率に変更がなければ第3・四半期(4─6月)に約9億ドルの追加コストが生じるとの見方を示した。

他の大型株では、交流サイト(SNS)運営のメタ・プラットフォームズは4.3%上昇、半導体大手エヌビディアは2.6%上昇した。アマゾン・ドット・コムは0.1%下落した。

石油大手シェブロンは1.6%高、エクソンモービルは0.4%高。四半期決算を好感した。

米ゲームソフト大手テイクツー・インタラクティブは7%近く下落した。「グランド・セフト・オートVI」の発売を2026年5月に延期した。

ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.81対1で上回った。

米取引所の合算出来高は159億9000万株。直近20営業日平均は193億株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 安値拾いの買いが優勢となり、4日ぶりに反発した。中心限月6月物の清算値(終 値に相当)は前日比21.10ドル(0.65%)高の1オンス=3243.30ドル。 週間では1.67%安となった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の増産への警戒感が強まる中で売られ、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物は前日清算値(終値に相当)比0.95ドル(1.60%)安の1バレル=58.29ドルだった。週間では7.51%安だった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 144.93/144.98

始値 144.66

高値 145.08

安値 143.74

ユーロ/ドル NY終値 1.1295/1.1297

始値 1.1331

高値 1.138

安値 1.1293

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時03分 97*10.50 4.7940%

前営業日終値 98*07.00 4.7370%

10年債(指標銘柄) 17時03分 102*15.50 4.3103%

前営業日終値 103*04.00 4.2310%

5年債(指標銘柄) 17時03分 99*26.00 3.9166%

前営業日終値 100*09.00 3.8130%

2年債(指標銘柄) 17時03分 99*27.50 3.8239%

前営業日終値 100*03.00 3.7010%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 41317.43 +564.47 +1.39

前営業日終値 40752.96

ナスダック総合 17977.73 +266.99 +1.51

前営業日終値 17710.74

S&P総合500種 5686.67 +82.53 +1.47

前営業日終値 5604.14

COMEX金 6月限 3243.3 +21.1

前営業日終値 3222.2

COMEX銀 7月限 3225.9 ‐21.0

前営業日終値 3246.9

北海ブレント 7月限 61.29 ‐0.84

前営業日終値 62.13

米WTI先物 6月限 58.29 ‐0.95

前営業日終値 59.24

CRB商品指数 290.2982 +0.8056

前営業日終値 289.4926

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