中国輸出が6カ月ぶり増加、値下げ効果か 11月輸入は予想外に減少

中国税関総署が7日発表した11月の貿易統計では、輸出が6カ月ぶりに増加に転じる一方、輸入は予想外に減少した。山東省の青島港で昨年5月撮影。チャイナ・デーリー提供(2023年 ロイター)
Joe Cash
[北京 7日 ロイター] - 中国税関総署が7日発表した11月の貿易統計では、輸出が6カ月ぶりに増加に転じた。だが長引く需要低迷を受けて製造業者が値下げにより販売を増やしている可能性が示された。一方、輸入は予想外に減少した。
11月の製造業関連統計は強弱が交錯し、引き続き政策支援が必要との見方が出ている。ただ聞き取り調査に基づく指標の内容が悲観的になっていることで、状況の改善が見えにくくなっているとの指摘もある。
輸出は前年比0.5%増加。10月は6.4%減、ロイターがまとめたエコノミストの予想は1.1%減だった。
輸入は0.6%減少。10月の3.0%増からマイナスに転じた。エコノミストの予想は3.3%増だった。
保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「中国の輸出は過去数カ月、改善傾向にあり、今回のプラス転換はおおむね市場の予想に沿ったものだった」と指摘。「最近は他のアジア諸国の輸出にも回復の兆しが見られる」と述べた。
<値下げが輸出を押し上げ>
しかし短期的には中国メーカーに対する圧力が完全に和らぐ兆しはほとんど見られない。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun
Huang氏は「輸出量は最高水準を更新したが、輸出業者の値下げに支えられたものだ。値下げを続けるのは困難なため持続可能かどうかは疑わしい」との見方を示した。
経済指標が10月以降おおむね好調で、第3・四半期の成長率が予想を上回ったことなどから、一部のアナリストからは経済の状況はそれほど弱くないとの声が聞かれる。また中国当局が6月以降打ち出した支援策が一定の効果をもたらしているとの指摘もある。
ハンセン銀行チャイナのチーフエコノミスト、ダン・ワン氏は「海外の需要が予想より強く、内需は予想より弱いことが示された」とした上で「最大の輸出品目は電気機械と自動車であり、欧州とロシアの需要が輸出を押し上げるだろう」などと分析した。
アナリストは、不動産セクターや失業問題、弱い家計と企業景況感が持続的な景気回復に立ちはだかっており、最近の政策支援が内需喚起に十分か判断できる状況にはないと指摘する。
国際通貨基金(IMF)は11月、2023年と24年の中国の経済成長率予想をそれぞれ0.4%ポイント引き上げた。一方、ムーディーズは5日、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
保銀投資の張氏は「輸出需要は改善したが、輸出が来年に向けて成長の柱になれるかどうかは不透明だ。欧州と米国の経済は冷え込んでおり、2024年は内需を成長の主な原動力とする必要がある」との見方を示した。