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再送-豪中銀の声明全文

2023年12月05日(火)14時28分

写真は豪中銀本部ビル、2016年3月撮影(2023年 ロイター/David Gray)

(文中の誤字を修正しました)

[シドニー 5日 ロイター] - 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を4.35%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.25%で据え置く。

4カ月間据え置いた後、理事会は先月、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。この決定は、インフレ率を目標範囲である2─3%に戻すための進展が、当初の予想よりも遅いとの見解を反映したものだ。経済はトレンドを下回る局面にあるが、今年前半は予想以上に堅調だった。基調インフレ率は、広範なサービス分野を含め、8月時点の予想を上回った。労働市場は緩和しているが、依然として引き締まった状況にある。新規住宅ローン件数の増加に合わせ、住宅価格も全国的に上昇を続けている。理事会は、インフレがより長期間より高い水準にとどまるリスクが高まったと判断し、インフレ率が合理的な時間枠内で目標に戻ることをより確実にするため、金利を引き上げることが正当化されると考えた。

11月会合以降に入手した国内経済に関する限られた情報は、おおむね予想通りだった。10月の月次消費者物価指数(CPI)は、モノにけん引される形で、インフレが引き続き緩やかになっていることを示唆した。ただ、サービスインフレに関してはさほど新たな情報はなかった。全体として、期待インフレ率は引き続きインフレ目標に一致している。賃金の伸びは7─9月期に上向いたが、これは先の公正労働委員会の法定最低賃金に関する決定を反映したもので予想されていた。生産性の伸びが回復すれば、賃金はこれ以上大きくは伸びず、インフレ目標と整合的であると予想される。労働市場の状況も依然としてタイトではあるものの、段階的な緩和が続いている。

金利上昇は、経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながっている。先月を含む最近の利上げの影響は引き続き、経済全体に波及していくことだろう。高インフレは人々の実質所得を圧迫し、家計消費の伸びは弱く、住宅投資も低調だ。今回の理事会でキャッシュレートを据え置くことは、利上げが需要やインフレ、労働市場に与える影響を見極める時間を与える。

理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。高インフレは全ての人の生活を困難にし、経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるにはよりコストがかかる。これまでのところ中期のインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。

見通しには大きな不確定要素がある。海外ではモノのインフレ率については好ましい兆候があるが、サービス価格の上昇は続いており、オーストラリアでも同じことが起こる可能性がある。中国経済の先行きや海外紛争の影響など、依然として高い不透明感がある。国内的には、金融政策の効果の遅れのほか、労働市場が引き締まっている時期に企業の価格決定と賃金が景気減速にどのように反応するかについても不確実性がある。個人消費の先行きも不透明な要因だ。多くの世帯が家計を圧迫する痛みを経験している一方で、住宅価格の上昇や貯蓄のかなりのゆとり、金利収入の増加などの恩恵を受けている世帯もある。

インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために金融政策をさらに引き締める必要があるかどうかは、データとリスク評価次第だ。決定に当たっては世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなくそのために必要なことを行う。

ロイター
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