中国の対内直接投資、四半期ベースで初赤字 欧米のリスク低減で
11月6日 中国への海外直接投資(FDI)が四半期ベースで初めて赤字となったことが判明した。写真は2022年2月、上海で撮影(2023年 ロイター/Aly Song)
[上海 6日 ロイター] - 中国への海外直接投資(FDI)が四半期ベースで初めて赤字となったことが判明した。欧米各国によるデリスキング(リスク低減)の動きを受けた。
3日夜に発表された国際収支統計速報によると、7─9月期の直接投資負債(FDI指標)は118億ドルの赤字だった。中国の外為規制当局は1998年にデータの集計を開始した。
ゴールドマン・サックスは「対内直接投資の弱さの一部は、多国籍企業が利益を本国へ送金していることに起因している可能性がある」と指摘。中国と先進国との金利差も一因だとした。
その結果、基礎的収支(経常収支と直接投資収支を含み、不安定なポートフォリオ投資よりも安定している)は32億ドルの赤字となり、過去2四半期目の赤字となった。
キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は、異例の大きな金利差で「企業が内部留保を国外に移した」と指摘。外資系企業が中国への関与を縮小している兆候は総合的にはみられないが、「少なくとも中期的には、地政学的緊張の高まりが中国への直接投資を阻害し、欧米に友好的な新興国市場に有利に働くと考えている」と述べた。
OCBCの大中華圏リサーチ担当責任者、トミー・シエ氏は「人民元に圧力をかけるようなこうした力学の展開を考慮すると、中国当局による持続的な戦略的対応が見込まれる」と指摘した。
また、10月の人民元の対ドル取引量が過去最低を記録。元売り抑制に向け当局が取り組みを強化した。
シエ氏は、中国人民銀行(中央銀行)が元を支えるため、基準値に強いバイアスをかけたり、オフショア市場での元の流動性を管理したりするなど、カウンターシクリカル(逆周期=反循環的)な介入を継続すると予想している。
最新のデータによると、10月の元の対ドル取引量は1兆8500億元(2540億5000万ドル)と、8月の水準から73%減少した。