最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

Ukraine Could Soon Get Machine-Gun Mounted Drones

2024年5月9日(木)14時47分
イザベル・バンブルーゲン

ウクライナのハルキウで軍事偵察用ドローンの訓練を受ける住民(2022年11月4日) Photo by Vyacheslav Madiyevskyy/Ukrinform/ABACAPRESS.COM

<「航空優勢の確保と高精度の殺傷力を融合させた画期的なドローン」だとメーカーは説明>

ロシアと戦うウクライナ軍に、マシンガン(機関銃)を搭載したドローン(無人機)が提供される可能性が出てきた。米ドローン企業がプレスリリースで明らかにした。

米ワシントンのドローン企業「フェロニ・エアロ」は有料のプレスリリース配信サービス「PRニュースワイヤー」のプラットフォームで、新たな兵器化ドローン「FelonX」と「Felon 1.0」を発表した。これらは「ウクライナの防衛能力を飛躍的に強化」するためのものだと述べた。

【画像】ウクライナを救う?アメリカ製機関銃ドローン

米議会が何カ月にも及ぶ審議を経て承認した610億ドル規模のウクライナ追加支援の一環として、米国防総省が同社のドローン購入を決定すれば、近くウクライナに供与される可能性があるという。

ウクライナでは、2022年2月にロシアによる侵攻を受けた当初からミハイル・フェドロフ副首相兼デジタル改革担当相が独自の「アーミー・オブ・ドローンズ(ドローン軍)」プロジェクトを立ち上げるなど、ドローンが戦争のなかで大きな役割を果たしてきた。

より遠くからより精密に

フェロニ・エアロによると、Felon 1.0は「航空優勢の確保と高精度の殺傷力を融合させた画期的なドローン」。「空中戦で優位に立つための設計として、高度な監視能力と5.56ミリ機関銃の火力を併せ持ち、作戦行動にかつてない革命をもたらす」

Felon 1.0は上空からの「比類ない火力」をもたらし、偵察任務や国境・境界地域の警備、対テロ作戦の実行にあたって、運用者が安全な距離を保ちつつ「きわめて高い精度で」標的を攻撃できるという。

もう一方のFelonXについては、「ドローン戦の限界を再定義」する設計で、世界最小のスパイクミサイル(精密誘導ミサイル)を「比類のない効率性と精密さで」搭載・発射できると述べる。

トッド・ダンフィーCEOは声明で、同社のミッションは「絶えず変化し続ける地政学的な状況の中で、最先端の防衛技術を各国に提供することだ」と述べた。「追加支援を通じたアメリカ政府からのサポートを受け、現代の戦争を再定義する最先端の兵器化ドローンを提供することで、ウクライナ軍に貢献できる」

戦争開始以降、ロシアはウクライナ軍のドローン攻撃で多大な被害を被っており、一部の攻撃は首都モスクワにまで到達している。標的は主に弾薬庫や倉庫だ。ウクライナがロシア国内への攻撃について関与を認めることは滅多にないが、ロシア政府はウクライナがドローンを使ってテロ攻撃を実行しようとしていると非難している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:労災被害者の韓国大統領、産業現場での事故

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中