ニュース速報

ビジネス

米大手行、年内に融資伸び悩みも 第2四半期は好調

2022年07月19日(火)13時28分

 7月18日、米大手銀行は第2・四半期の決算発表で融資の伸びが好調との見方を示した。写真はニューヨークで2020年4月撮影(2022年 ロイター/Brendan Mcdermid)

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 米大手銀行は第2・四半期の決算発表で融資の伸びが好調との見方を示した。新型コロナウイルス禍から個人・企業の融資需要が回復しているという。

ただ、景気見通しの悪化で消費者信頼感が冷え込めば年内に融資需要が鈍化する可能性があるとも指摘した。

JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴは第2・四半期の融資残高がぞれぞれ前年比7%、8.4%増加したと指摘。資産の質が悪化している兆しは見られないと表明した。

JPモルガンは今年の融資が1桁半ば─後半の増加になると予想。融資の増加と利上げを背景に銀行の純利ざやは拡大する見通しだ。

例えば、シティグループは融資の粗利回りが5四半期連続で上昇し、第2・四半期に5.81%に達したと指摘。

ウェルズ・ファーゴのアナリストも「第2・四半期決算は明るい見方を強める内容となった」とし、信用の質は高く、融資は増加しており、純金利収入が前四半期比で10%増加したと分析した。商業ローンの伸びは14年ぶりの高水準という。

ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン、シティは企業向け融資が第2・四半期に増加したとし、インフレに伴うコストの増加分を相殺できるケースが多かったと報告。

例えば、JPモルガンでは商工ローンが大幅に増加した。リボルビング・ファシリティーの利用が6%拡大したほか、新規の口座も開設された。商業不動産ローンは3%増だった。

シティのインスティチューショナル・クライアント・グループでは融資が3%増加した。ウクライナ戦争で市場のボラティリティーが高まり、顧客が債券市場を通じた資金調達に消極的になっているという。

ただCFRAリサーチのリサーチディレクター、ケネス・レオン氏は景気後退リスクを踏まえると、下半期の商業ローンの伸びは横ばいとなり、消費者ローンはたとえわずかであっても減少する公算が大きいと予想。

消費者向け融資は、金利上昇の影響で住宅ローンが足を引っ張る要因となっているが、JPモルガンとウェルズ・ファーゴのクレジットカードローンはともに17%増加した。

銀行幹部は、信用の質は依然として非常に高いが、インフレで個人消費が鈍化する公算が大きいとの見方を示している。

ウェルズ・ファーゴのマイク・サントマシモ最高財務責任者(CFO)は「第2・四半期と同じペースが続くとは思えない」と発言。

モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤCFOも、ウエルスマネジメント部門の顧客を中心に融資が前年比で70億ドル増加したが、金利上昇で同部門の融資は伸び悩むとの見通しを示した。「信用の質は依然として非常に高いが、来年には悪化するだろう」としている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国EVメーカーNIO、初の量販モデルを月内に発表

ビジネス

午前の日経平均は反発、連休中の米株高で 大型ハイテ

ビジネス

米ボーイング新型宇宙船「スターライナー」打ち上げ延

ワールド

中国気候変動特使、8─9日にワシントン訪問=米国務
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中