ニュース速報

ビジネス

与党が17年度税制改正大綱を正式決定 所得税控除、数年で抜本改革

2016年12月08日(木)19時48分

 12月8日、自民、公明両党は、2017年度税制改正大綱を正式決定した。今後数年で所得税の控除全般の改革に取り組むとし、第1弾として18年1月から配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げることを決めた。写真は都内で2011年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 8日 ロイター] - 自民、公明両党は8日、2017年度税制改正大綱を正式決定した。今後数年で所得税の控除全般の改革に取り組むとし、第1弾として18年1月から配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げることを決めた。

17年度税制改正で、与党は先端技術開発への減税措置も盛り込み、安倍晋三政権が掲げる国内総生産(GDP)600兆円の実現を税制面から後押ししたい考えだ。

今回の税制改正大綱は、1)構造変化を踏まえた個人所得課税改革、2)デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置、3)中小事業者支援・地方創生の推進、4)租税回避の効率的な抑制、5)車体課税の見直し──などが柱。

所得税改革では、配偶者控除の見直しを「第1弾」と位置づけ、「基礎控除をはじめとする人的控除などの諸課題に取り組む」と強調。現行の控除制度の抜本的な見直しに意欲をにじませた。

経済成長を後押しする税制措置も盛り込み、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、人工知能など「第4次産業革命型」のサービス開発費用の一部を研究開発税制に新たに追加、所得拡大推進税制について、高い賃上げを行う企業への支援強化策も打ち出した。

一方、現行の少額投資非課税制度(NISA)が積立型の投資に利用しづらい現状を踏まえ、少額からの積立・分散投資を促す「積立NISA」の創設も明記。ビール類の税額を26年10月に一本化する酒税改革や、仮想通貨取引の消費税の非課税化も今回の与党大綱に明記した。

<国税は200億円増・地方税は500億円減>

今回の改正に伴う増減収額は、影響が通年で表れる「平年度ベース」で国税が200億円の増収、地方税は500億円の減収となる見通しだ。

配偶者控除・配偶者特別控除の見直しでは、国税が400億円の増収となる一方、地方税が400億円の減収となり、国・地方を合わせると「税制中立」となる。配偶者控除の影響を除けば、改正による増減収は国200億円、地方100億円と、いずれも減収になる。

一方、税率を段階的に見直すことを決めた酒税についても最終的には税制中立となる見込み。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入の有無にコメントせず 「24時間3

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中