ニュース速報

ビジネス

米AT&T、タイム・ワーナーを854億ドルで買収へ

2016年10月24日(月)08時20分

 10月22日、米通信大手AT&T(写真)は22日、メディア大手タイム・ワーナーを854億ドルで買収することで合意したと発表した。2014年10月撮影(2016年 ロイター/Mike Blake)

[ニューヨーク 22日 ロイター] - 米通信大手AT&Tは22日、メディア大手タイム・ワーナーを854億ドルで買収することで合意したと発表した。当局が承認すれば、AT&Tはケーブルテレビ局HBOやニュース専門局CNN、映画スタジオ、ワーナー・ブラザーズなど様々なメディア事業を傘下に収めることになる。

タイム・ワーナー株1株に対し、107.50ドルを支払う。半分は現金、半分は株式での取引になる。独禁当局の審査を経て、2017年末までの買収完了を目指すという。AT&Tによると、米司法省が今後、買収を審査する見通し。

米上院司法委員会のメンバー、リチャード・ブルメンサル議員など一部議員からは、AT&Tによる買収案の精査を求める声が既に上がっている。

上院の反トラスト小委員会のマイク・リー委員長は23日、年内にAT&Tの買収計画について公聴会を行うことを明らかにした。

また、米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏は選挙集会で、AT&Tによるタイム・ワーナー買収について、当選した場合、承認しない考えを明らかにした。

AT&Tは主力の携帯電話・通信事業の伸びが鈍化する兆しを見せる中、事業の多角化を図ってきた。昨年は米衛星テレビ放送大手ディレクTVを485億ドルで買収した。

AT&Tのランダル・スティーブンソン最高経営責任者(CEO)とジェフ・ビューケスCEOによる協議は8月に始まった。スティーブンソン氏は「2社が合併すれば、技術革新をさらに加速できるという認識を共有した」と述べた。

スティーブンソン氏はまた、「競合相手を市場から締め出すことにはつながらない。合併で競争上、悪影響を及ぼすことはない」と指摘。「規制当局の懸念は、調整すれば十分解消できると信じている」と述べた。

関係筋によると、別の買い手が現れた場合、タイム・ワーナーはAT&Tに17億2500万ドルを支払う義務を負う。当局が買収を阻止した場合、AT&Tはタイム・ワーナーに5億ドルを支払う必要がある。

AT&Tによると、買収の現金の部分は手元資金と新たな債務でまかなう。期間18カ月、400億ドルの無担保つなぎ融資のコミットメントを得ているという。

AT&Tの手元資金は72億ドル。ムーディーズによると、6月末時点の負債は1200億ドルとなっており、一段の借り入れは信用格付けに影響する可能性がある。

AT&Tは同時に第3・四半期決算も前倒して発表。調整後の1株利益は前年同期並みの0.74ドルとなり、アナリスト予想ともほぼ一致した。四半期配当は1株当たり0.01ドル増額し0.49ドルとした。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中