ニュース速報

ビジネス

首相「TPP早期妥結めざす」、施政方針演説で農業改革にも意欲

2015年02月12日(木)13時26分

 2月12日、安倍首相は施政方針演説で、最終局面のTPP交渉について「米国とともに交渉をリードし、早期の交渉妥結をめざす」と強調した。昨年1月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 12日 ロイター] - 安倍晋三首相は12日の衆院本会議で、第3次内閣発足後初めての施政方針演説を行った。最終局面の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では「米国とともに交渉をリードし、早期の交渉妥結をめざす」と強調。岩盤規制の強い農業分野における抜本改革への意欲も示した。

演説では、TPP交渉の早期妥結とともに欧州との経済連携協定(EPA)について触れ、「本年中の大筋合意をめざし、交渉をさらに加速する」と語った。国際社会での競争力強化に向け、法人実効税率について「数年で20%台まで引き下げ、国際的にそん色のない水準へと改革する」との意向もあらためて示した。

農業改革では「60年ぶりの農協改革を断行する。農協法に基づく現行の中央会制度を廃止し、全国中央会は一般社団法人に移行する」と強調。農業委員会制度にも踏み込み、「耕作放棄地の解消、農地の集積を一層加速する」と述べた。

そのうえで首相は「内外一体の改革を進め、日本の農水産物を世界に展開していく」と語った。

エネルギー関連では、燃料輸入コストの増大で電気料金が上昇する現状では国民生活や中小事業者への負担が大きいと指摘。「原子力規制委員会が新規性基準に適合すると認めた原発は、科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進める」と述べた。

一方で「長期的に原発依存度を低減させていく方針は変わらない。徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進める」と語った。

財政健全化の目標については「20年度の(黒字化の)目標を堅持し、夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定する」とした。

過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件を踏まえ、演説の冒頭では「非道、卑劣極まりないテロ行為を断固非難する。日本がテロに屈することは決してない」と強調する場面もあった。

後藤健二さんと湯川遥菜さんを殺害したとする映像を公開したイスラム国を厳しく非難するとともに、日本がテロに屈することはないとの意向をあらためて示した。そのうえで首相は「水際対策の強化など国内外の安全確保に万全を期す。食料、医療などの人道支援、テロと戦う国際社会において日本としての責任を果たす」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中