トランプ「機密メモ」が民主主義をつぶす
CIAや政府機関の上層部で働いた経験から言えば、秘密結社やディープステートなど存在しない。だが、たとえデマでも、そうした考えは民主主義の信用を傷つけ、多くのトランプ支持者はそうしたデマを信じている。
政治闘争とディープステートによる不正というばかげた主張の裏で、ヌネス・メモはアメリカの政府と社会に3つの害を及ぼしている。
まずロシア疑惑捜査の信用を低下させてトランプを守る。次に(FBI内部で不正と「反乱」活動が行われているという)かつてない大げさな逆襲によって、捜査とロシア疑惑から世間の目をそらす。さらに、政府の民主主義制度に対する不信感をあおり、「指導者」つまりトランプが民主主義的規範に縛られないようにする。
「大統領権限は疑いようのないもの」だとトランプの側近の1人はかつて語った。トランプを脅かす面倒な民主主義のプロセスと疑いをつぶす。それがヌネス・メモの狙いだ。
<本誌2018年2月20日号掲載>
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