コラム

日本の未来が「おいしい」理由は2000年代のアメリカを見れば分かる

2022年05月19日(木)17時10分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<米国株人気の背景には「日本株はどうせ成長しない」という悲観的な見方がある。だが日本では今、旧来の「昭和96年型企業」と異なる「令和型」の企業が増えつつある>

長引くコロナ禍や経済の長期低迷、少子高齢化など、暗い話題に事欠かない国・日本。インターネット調査会社「マクロミル」が新成人を対象に行った調査によると、「日本の未来は暗いと思う」と答えた人が約62%にのぼったという。

その1つの証拠として、株式市場では若者を中心に米国株の人気が高まっている。「日本株を買ってもどうせ成長しない」と考えているからだ。

だが日本の未来には、本当に暗いことばかりが待ち受けているのだろうか。

ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏は、そうした悲観的な傾向があることを理解しつつも、こう断言する。「日本という舞台はこれから生きる上で最高だ」

YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「【投資のプロが語る】2040年、おいしいニッポンの時代がやってくる?」では、昨年11月に発売された藤野氏の著書『おいしいニッポン――投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)の内容を一部抜粋し、日本の未来を展望している。

藤野氏によると、日本株が成長しない理由の1つに「昭和96年型」の企業が多すぎる点が挙げられる。

昭和96年型の企業とは、令和の時代にありながら昭和の特色を引きずる企業のこと。昭和元年から数えると、2021年は「昭和96年」であることから昨年藤野氏が使い始めた新語だ。

昭和96年型の企業を表す最大の特徴は、組織の意思決定が男性中心に行われること。例えば日本経済団体連合会(経団連)では、昨年ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子氏が副会長に就任するまで、トップは全て転職経験のない男性だった。

「おじさん文化」が根付く日本に足りないのはダイバーシティ(多様性)だと、藤野氏は言う。だが、裏を返せば「令和型」の企業であれば大きく伸びる可能性がある。なぜなら消費者が求めるものは時代とともに変わっているからだ。

fujino20220519oishii-japan-2.jpg

「お金のまなびば!」より

東大生ほど大手企業に入りたがらない時代に

そこで藤野氏が注目するのは、日本の未来を担う大学生たち。ひと昔前なら、一流大学の学生は一流企業に就職するか官僚になるのがいわゆる「勝ち組」とされていた。だが、最近はベンチャー企業を立ち上げたり、外資系企業に就職したりする優秀な学生が増えているという。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米百貨店コールズ、通期利益見通し引き上げ 株価は一

ワールド

ウクライナ首席補佐官、リヤド訪問 和平道筋でサウジ

ワールド

トランプ政権、学生や報道関係者のビザ有効期間を厳格

ワールド

イスラエル軍、ガザ南部に2支援拠点追加 制圧後の住
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story