コラム

アジア歴訪オバマの2つの思惑

2010年11月08日(月)17時56分

 中間選挙の大敗から立ち直る間もなく、11月6日から10日間のアジア歴訪をスタートしたバラク・オバマ米大統領。経済や安全保障面での関係強化が目的だ。

 まず最初の3日間はインドで過ごし(これまでの外遊で最長の滞在日数となる)、安全保障面でパキスタンや中国に注視しなければならないからといって、インドとの大事なパートナーシップを軽んじたりはしないと、現地の指導者層に強調する見通しだ。

 その後、幼少時代を過ごしたインドネシアを訪れた後、11〜12日にソウルで開かれるG20首脳会議に出席し、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席とも会談を行う。 さらに、横浜で行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議では、菅直人首相やロシアのメドベージェフ大統領とも会談を行う予定だ。

 当然ながら、訪問先で話し合う議題の多くは、オバマが今回訪れない「ある国」に関連している。そう、中国だ。今回の歴訪の目的の一つは、中国が強硬姿勢を強める一方、アジアで展開する軍事力を削減しつつあるように見えるアメリカに対して不安を募らせる同盟国を安心させることだ。

 さらにオバマは経済対策をめぐって国民の厳しい批判にさらされていることから、雇用の創出も目的の一つに掲げている。「世界屈指の成長市場の一つであるアジアで市場を開放させ、アメリカの商品を売れるようにして雇用を創出するのが最大の狙いだ」と語った。

----ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2010年11月5日(金)07時56分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport", 8/11/2010.©2010 by The Washington Post. Company.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国航空会社2社、エアバス機購入計画発表 約82億

ワールド

コロンビア、26年最低賃金を約23%引き上げ イン

ワールド

アルゼンチン大統領、来年4月か5月に英国訪問

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃訓練開始 演習2日目
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story