コラム

世界一のツイッター大国、日本の弱み

2010年07月01日(木)16時00分

 ツイッターが本当にビッグバンを起こしているのはアメリカではなく、日本だった。ツイッターを利用しているネットユーザーの割合は、アメリカでは10%に過ぎないが日本では16%に達している。ブロードバンドの普及率は日米とも似たようなものなのにこんなに差をつけられるとは。

 ツイッター社の推計によると、日本のツイート(つぶやき)数は1日800万件近く、世界の総ツイート数の12%を占める。とくにサッカーのワールドカップ(W杯)で盛り上がった先週は、1秒当たり3085件のツイートが飛び交って世界記録を更新した。

 だが、日本のツイッター旋風も選挙となると突然、静まり返る。アメリカの有権者にとっては、動画サイトのユーチューブで候補者の討論会を見たりソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で候補者に質問したりするのは当たり前のことだが、日本では政治家がネットを使って選挙運動を行うことは公職選挙法で禁じられている。7月11日に行われる参院選でも、6月24日の公示後はつぶやき禁止。候補者のツイッターは文字通り沈黙してしまった。

■ツイッター社は政治利用へロビー活動?

 一方ツイッター社は、ネットでの選挙運動が解禁されるよう世界的に働きかけを行っている。


 諸外国では、バラク・オバマ米大統領からベネズエラのウゴ・チャベス大統領まで多くの指導者がツイッターを活用している。先週、サンフランシスコのツイッター本社を訪れたロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領も、各国指導者へ向けて初ツイートをつぶやいたと、同社広報担当のショーン・ギャレットは言う。

 ツイッター社はワシントンでは代理人を通じて政治の一層のツイッター利用を訴えており、将来はこれを世界に広げていきたい考えだ。

 今週東京を訪問したギャレットは、「議員から官僚まであらゆる政府関係者にとって、ツイッター利用と有権者とのコミュニケーションに大きな可能性があるのは明らかだ」と語った。


 さて、日本の政治家はウェブを使って自分の選挙運動を有利にするチャンスを与えられるべきか? ネットの活用はより民主的な政治の実現に役立つか? さあツイートしよう。

──ブライアン・ファン
[米国東部時間2010年06月30日(火)19時06分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 1/7/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

9月のEU新車販売、前年比6.1%減 ハイブリッド

ビジネス

米ルーシッド、株式公募で2026年までの運営資金を

ワールド

EU、重要鉱物の共同購入プラットフォーム開発業者選

ビジネス

ドル151円台へ上昇、3カ月ぶり高値 米金利も上抜
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    「常軌を逸している」 トランプ、選挙集会で見せた「…
  • 6
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 7
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 8
    「なぜその格好...」ルーブル美術館を貸し切った米モ…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    グロズヌイ「巨大爆発」の瞬間映像...「戦時」の不安…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 4
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 5
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 6
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story