コラム

タミフルは副作用ばかりで効かない?

2009年12月09日(水)15時56分

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表された研究によると、公開されたデータのなかには、タミフルでインフルエンザの合併症が軽減できるという証拠はないという。イギリスのアンディ・バーナム保健相が新型インフルエンザに対する「最高の防御」と呼んだ薬なのに、だ。研究者たちは、製造元であるスイスのロシュ社のデータを検証しようとしたが、同社はタミフルに関する研究結果の提供を拒否した。

 公開されたデータによれば、タミフルにはインフルエンザの症状を1日かそこら短縮する効果はあるかもしれないが、肺炎のような深刻な合併症を防ぐ効果があるかどうかは不明だという。効果がその程度なら、数々の副作用を耐え忍んでまで服用する価値はないかもしれない。タミフルの副作用には、不眠症、吐き気、悪夢、腹痛、頭痛、それに自傷行為を伴う稀な精神神経異常もある。

 新型インフルエンザ流行に備える備蓄として、今年ロシュから推定26億5000万ドルものタミフルを購入した世界各国の政府にとって、これは由々しき問題だ。イギリスのある科学者は、いざこの薬を使うか否かを決断するはめになった時、政策決定者が直面することになる事態を、あまり役には立たないが痛快な比喩を使って表現した。




 すでに大量の薬を買ってしまった今の状況は、アメリカの銃規制と似ているかもしれない。自宅に銃があれば、ずっと使いやすくなる。だからといって、それが正しい行為ということにはならない。


――ジョルダナ・ティマーマン
[米国東部時間2009年12月08日(水)18時27分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport" ,9/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:香港へ向かう中国富裕層マネー、制度緩和で

ワールド

焦点:ロシアに今も溢れるナイキやレゴ、背後にグレー

ビジネス

NY外為市場=ドル/円8週間ぶり高値、米PMI受け

ワールド

イスラエル、ガザ全域で攻勢 45人死亡 ラファ攻撃
MAGAZINE
特集:サウジの矜持
特集:サウジの矜持
2024年6月25日号(6/18発売)

脱石油を目指す中東の雄サウジアラビア。米中ロを手玉に取る王国が描く「次の世界」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシア人選手が大激怒 殺伐としたフェンシング大会

  • 2

    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『アコライト』を失速させてしまった「伝説」の呪縛

  • 3

    電気自動車「過剰生産」で対立するG7と中国──その影にジンバブエのリチウム鉱山開発ブーム、現地でいま何が?

  • 4

    スカートたくし上げノリノリで披露...米大物女優、豪…

  • 5

    米メディアのインタビュー中、プーチン大統領の「足…

  • 6

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 7

    なぜ保険料を払っていない「主婦」への年金はなくな…

  • 8

    都知事選、蓮舫候補の「二重国籍」問題の事実関係を…

  • 9

    韓国観光業界が嘆く「中国人が戻ってこない」理由

  • 10

    ルイ王子の「くねくねダンス」にシャーロット王女が…

  • 1

    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は「爆発と強さ」に要警戒

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシア人選手が大激怒 殺伐としたフェンシング大会

  • 4

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 5

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 6

    えぐれた滑走路に見る、ロシア空軍基地の被害規模...…

  • 7

    ルイ王子の「くねくねダンス」にシャーロット王女が…

  • 8

    800年の眠りから覚めた火山噴火のすさまじい映像──ア…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 6

    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story