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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

仏教は今を生きる知恵~大愚和尚がNYで語る慈悲と調和

地方の寺と、心を癒す場所づくり

今、都会へ人が集中する一方で、地方の寺もどんどん捨てられています。かつて全国に7万あった寺の多くが、無住になり、放置されているのです。

私は「テンプルステイ」という形で、地方の静かな土地に、心が休まる場をつくりたいと考えています。そこでは、自分と向き合い、疲れを癒し、人生を見つめ直すことができる。そんな場が、ひとつでも多く生まれてくれたらと願っています。

あと10年、私は弟子を育てながら、自らも伝道を続けていきます。人の痛みを感じられる人間を育てたいのです。

そして「大愚道場」と「経営マンダラ」を通じて、仏教の智慧を社会へと還元していく。仏教が"過去のもの"ではなく、"今ここで生きている知恵"として広がっていく未来を、私は本気で描いています。

英語で仏教を伝える理由

日本語で話していると、「奥様(日本人)が、変なお坊さんにだまされてるんじゃないか」と英語しか話せないアメリカ人のご主人であれば心配になることもあるでしょうから、信頼を受けるためにも英語で話すようにしました。

加えて日本語で話せば、日本人の身内や友人が通訳をしてくれることとなります。でも、それでは本当に"自分の言葉"が相手の心に届いてるかどうかわかりません。だから私は、自分の声で、自分の言葉で伝えることにこだわりたいのです。

今では、日本人を介さずに直接私のもとを訪れる外国人も増えてきました。YouTubeでは英語版の「たいぐぜん(Taigu Zen)」も始まり、英語での一問一答も多くなっています。

アメリカに住む日本人の親御さんからは、仏教の考え方や日本の文化を、アメリカで生まれ育った子供たちや、親の言うことに耳を貸さなくなった思春期の若者たちにも、忘れてほしくない、知ってほしいとお願いされることが多いです。

「たいぐぜん(Taigu Zen)」では、子供たちに向けても、日本人としての感覚を忘れずにいてほしい、知ってほしいと願いながら、発信を続けています。


30年越しの再訪、そして今のアメリカ

初めてニューヨークに来たのは、20代のときで、もう30年近くも前のことです。当時は和太鼓をやっていて、カーネギーホールで演奏したのです。気がつけば、あっという間に年月が流れていました。

今回ニューヨークでの開催が実現したのは、お声がけくださった、ともこさんのおかげです。私はその願いに応える形で、再びこの地に立つことができました。

最近ではサンフランシスコにも訪れましたが、フェンタニル中毒の患者が増えていて、かつて多くの日本人が憧れたアメリカの姿とは少し違っていました。

ニューヨークはファッショナブルで、東海岸は人種のるつぼ。最先端のトレンドが集まる魅力的な場所であることは変わりません。でも一方で、物価や家賃の高さに、日本から来た人々は驚くかもしれませんね。

私が一番伝えたいことは、「慈悲心(じひしん)」です。
愛というのは、どうしても家族や好きな人に限られがちです。でも慈悲心は、それを超えて、「すべての生きとし生けるものが幸せでありますように」と願う心。

それは、頭で理解するのではなく、寂しさや痛みにそっと寄り添う感覚として、体で感じてほしいのです。だから私は、英語でも日本語でも、文化や国籍を越えて、この思いやりの心を世界に広げていきたいと思っています。

【プロフィール】
大愚元勝(たいぐげんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、何にもとらわれない自由な境地を表す。駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。僧侶・事業家・セラピスト・空手家と4つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。また、過食、拒食、リストカットを繰り返す少女の母親からの相談をきっかけに始めた、YouTube のお悩み相談チャンネル「大愚和尚の一問一答」は、登録者 70 万人を超える。令和元年には、仏教の本質に立ち返り、「慈悲心、知恵、仏性を育む」ことを宗旨とする佛心宗を興し、新たなスタートを切る。主な著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『ひとりの「さみしさ」とうまくやる本』(興陽館)、『これでは、不幸まっしぐら』(佼成出版社)、『苦しい心が軽くなる 思いを手放すことば』(KADOKAWA)『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』(アスコム)『1日3分でしなやかな心が育つ 禅のことば』(講<br>談社)、『愚恋に説法~恋の病に効く30の処方箋~』(小学館)などがある。

大愚和尚の一問一答Youtube
大愚和尚オフィシャルサイト
大愚元勝 (@Taigu_gensho) - X

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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