最新記事
MLB

ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた

BEHIND THE GLORY

2025年11月8日(土)19時15分
青池奈津子(ロサンゼルス在住MLBライター)

newsweekjp20251108094913.jpg

11月3日の優勝パレードではしゃぐカーショウ(左)とキケ JESSIE ALCHEH-MLB PHOTOS/GETTY IMAGES

どん底から救ってくれたキケの一言

あの瞬間、そんな彼と、レギュラーシーズンも終盤となる9月中旬に交わした会話が思い出された。「実はね、前半はすごくしんどかったんだ」野球におけるメンタルの準備は「失敗する準備をすること」。それがミギーのアプローチだ。

だが今季は、どれだけポジティブに捉えようとしても、過去のようにうまく切り替えられない時期があったという。

「今年の僕の役割は、これまでと大きく変わった。去年まではほぼ毎日試合に出ていたけど、このチームは精鋭ぞろい。みんなが健康なら僕の出番は限られる。その分、自分にプレッシャーをかけすぎてしまい、前の打席を引きずって抜け出せなくなっていた」

内野のユーティリティーとして守備に定評のあるミギーは、昨季はけがで離脱したムーキー・ベッツの代わりに遊撃を守りチームを支えたが、今季は控えに回り相手が左投手の時に出番が回ってくることが多かった。

「ようやく出られた時には力みすぎて、何度も空回り。4打席ノーヒットとかあると『チームに貢献できなかった』と考えてしまい、1週間も引きずっていた。正直、ダークホールに落ちていたね」

そんな時、転機となったのがチームメイトのキケ・ヘルナンデスの言葉だった。

シャンパンファイトやパレードでの「はっちゃけぶり」からは想像しにくいが、ポストシーズンになると異様な集中力を発揮する「ミスター・オクトーバー」ことキケは、ミギーがチームの父親的存在なら、兄貴的存在だ。

5月の遠征先のホテルで、自信を失っていたミギーの部屋を訪ね、こう言った。「君がこのチームにもたらしているのは、野球のプレーだけじゃないだろ!」

「あの頃はすごく落ち込んでいて、自分をどう立て直せばいいのか悩むあまり、チームメイトの前でも、以前のようにクラブハウスの雰囲気を明るくしたり、みんなをまとめたりするような自分じゃなくなっていた」とミギーは振り返る。

キケの言葉に、仲間やコーチたちが今も自分を信頼してくれていることを思い出し、「あの日から『僕の役割は野球以外にもある、ちゃんと役に立てる』と切り替えられるようになった」と語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中