台湾人の88%が有事に備え...軍事侵攻だけでなく浸透工作・認知戦への危機感

KEEP CALM AND CARRY ON

2025年8月27日(水)10時53分
近藤弥生子(在台湾、ノンフィクションライター)

筆者の調査では、中国を信頼するという声や、有事に無関心・消極的、といった意見は一件も見られなかった。もちろん正式な世論調査ではないが、中国による浸透工作のせいで台湾国会や社会が混乱し、対立が激化しているとの認識が広がるなかで、現状への反発や窮状を伝えたいとの思いが強まっているのかもしれない。

台湾国立政治大学選挙研究センターが1900年代から継続している世論調査「重要政治態度」の最新データ(2025年6月)では、国家観について「永遠に現状を継続したい」が過去最高の34.6%を記録。27年間最多だった「当面は現状維持、将来はまた改めて決定する(26.5%)」を大幅に上回る結果となった。


アイデンティティーの自己認識についての問いにも、「台湾人である(62.9%)」が2008年より最多で成長傾向にあり、「台湾人でもあり、中国人でもある」が数を減らし、今回が過去2番目に少ない30.5%となった。

これらの調査から、政治的立場にかかわらず、現在の台湾社会を守りたいとの共通の民意が読み取れる。一方、争点を投下し対立を激化させる情報戦への警戒感は、台湾有事への危機感と同様に高まっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

通商政策の今後の展開や影響巡る不確実性、「高い状況

ワールド

トランプ大統領、ブレア英元首相やクシュナー氏らとガ

ワールド

韓国中銀、政策金利2.50%で2会合連続据え置き 

ワールド

原油先物は反落、米ドライブシーズン終了や対インド関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中