米関税政策「いまだ不確定な要素多く」=中川日銀審議委員

日銀の中川順子審議委員は28日、高関税政策に伴う今後の展開や影響には「不確実性が高い状況が續いている」との認識を示した。写真は群馬県前橋市で記者会見した際の中川審議委員。4月17日撮影(2025年 時事通信)
Takaya Yamaguchi
[下関市(山口県) 28日 ロイター] - 日銀の中川順子審議委員は28日の金融経済懇談会で、高関税政策を巡る日米合意などを念頭に「進展がみられる」と評価した。一方で「いまだ不確定な要素が多く残る状況が続いている」との認識も示し、次回の短観結果も含め、関税影響を注視する考えを強調した。
米関税政策を巡り、中川委員は「広範な関税の引き上げは世界的な貿易活動に影響を及ぼす」と述べた。さらに、関税政策の不確実性の高まりが「各国の企業や家計のコンフィデンス、国際金融資本市場に影響し、海外経済・日本経済を下押しする可能性がある」と語った。
一方で、欧米などで「独自の経済対策や政治的判断によって財政拡張的な政策を取ることにより、逆に、経済が想定よりも上振れる可能性もある」と指摘。影響の見極めには「今後のデータを確認していく必要がある」とした。
中川審議委員は懇談会で「各国の通商政策の交渉の進展などによる変化をみるために、次回短観の結果も大変重要」との考えも述べた。
国内経済については「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との認識を示した。
物価動向に関し、中川委員は「昨年夏場以降、コメなどの食料品価格上昇の影響が幅広い品目に波及する中で、価格上昇品目や伸び率は拡大傾向にある」と指摘し、「中長期的な予想物価上昇率は全体としては緩やかに上昇している」と言及。「見通し期間後半には物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見通しを示した。
今後の金融政策運営については「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との見方を維持した。先の懇談会でも同様の見解を示していた。
その上で、中川審議委員は「今後明らかとなるデータや情報を引き続き丁寧に確認し、適切に政策を判断していく」と語った。