ニュース速報
ビジネス

米関税政策「いまだ不確定な要素多く」=中川日銀審議委員

2025年08月28日(木)12時22分

日銀の中川順子審議委員は28日、高関税政策に伴う今後の展開や影響には「不確実性が高い状況が續いている」との認識を示した。写真は群馬県前橋市で記者会見した際の中川審議委員。4月17日撮影(2025年 時事通信)

Takaya Yamaguchi

[下関市(山口県) 28日 ロイター] - 日銀の中川順子審議委員は28日の金融経済懇談会で、高関税政策を巡る日米合意などを念頭に「進展がみられる」と評価した。一方で「いまだ不確定な要素が多く残る状況が続いている」との認識も示し、次回の短観結果も含め、関税影響を注視する考えを強調した。

米関税政策を巡り、中川委員は「広範な関税の引き上げは世界的な貿易活動に影響を及ぼす」と述べた。さらに、関税政策の不確実性の高まりが「各国の企業や家計のコンフィデンス、国際金融資本市場に影響し、海外経済・日本経済を下押しする可能性がある」と語った。

一方で、欧米などで「独自の経済対策や政治的判断によって財政拡張的な政策を取ることにより、逆に、経済が想定よりも上振れる可能性もある」と指摘。影響の見極めには「今後のデータを確認していく必要がある」とした。

中川審議委員は懇談会で「各国の通商政策の交渉の進展などによる変化をみるために、次回短観の結果も大変重要」との考えも述べた。

国内経済については「一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」との認識を示した。

物価動向に関し、中川委員は「昨年夏場以降、コメなどの食料品価格上昇の影響が幅広い品目に波及する中で、価格上昇品目や伸び率は拡大傾向にある」と指摘し、「中長期的な予想物価上昇率は全体としては緩やかに上昇している」と言及。「見通し期間後半には物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見通しを示した。

今後の金融政策運営については「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との見方を維持した。先の懇談会でも同様の見解を示していた。

その上で、中川審議委員は「今後明らかとなるデータや情報を引き続き丁寧に確認し、適切に政策を判断していく」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国中銀、2会合連続で金利据え置き 住宅市場や米関

ビジネス

独防衛大手ラインメタル、造船会社の買収検討 独紙報

ワールド

ロ朝首脳が中国軍事パレード出席へ、西側に対抗姿勢示

ビジネス

経営危機の英水道テムズ・ウォーター、罰金支払いの期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中