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米ロ首脳会談

なぜ?「国際法違反で逮捕状」が出ているプーチンが、アメリカで逮捕されず米ロ会談に臨める理由

Could Vladimir Putin Be Arrested in Alaska?

2025年8月15日(金)15時30分
ヘスス・メサ

アメリカはそもそもICC設立の条約すら批准していない

2023年3月17日、ICCはプーチンおよびロシアの児童権利担当委員マリア・リボワ・ベロワに対する逮捕状を発行した。ICCは、両名がウクライナ占領地域からロシアへの児童の不法な移送および連行に関与したとした上で、これらの行為が国際法上の戦争犯罪に該当するとしている。

ICCの訴状によると、プーチンはこの移送を直接命令したか、あるいは上司としてベロワの行為を阻止しなかったとされる。


しかし、プーチンがICCに訴追されていたとしても、アメリカの法律にはプーチンを拘束する法的根拠が存在しない。

ICC設立条約である「国際刑事裁判所に関するローマ規程」についても、アメリカは2000年にクリントン大統領(当時)のもとで署名こそしたが、批准はされなかった。2002年にはジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)が署名を撤回している。

その後、オバマ、トランプ(第1次)、バイデンと政権は変わったが、今なおアメリカはICCの管轄外にとどまり続けている。トランプに至っては、ICC職員に制裁を課しICCの正当性を公然と否定した。

ロシアもまたICCの正当性を否定しており、ICCの逮捕状は政治的動機に基づくものだとして報復をちらつかせている。アメリカもロシアも、ICCの権限を認めていないのだ。

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