台湾有事が「日本有事」を誘発する可能性大...最前線の南西部離島で広まる危機感、備えは十分か?
THE WAR PREP ISLANDS
尖閣侵攻の可能性も念頭に
こうした状況の下で米軍と日本の自衛隊はそれぞれ個別に、あるいは同盟パートナーとしても過去最大級の変革を進めている。
米国防総省は、海が広く、陸地は島が多いものの大陸部分が少ないという特徴を持つインド太平洋地域を重視する戦略に転換しようとし、米軍全体の戦闘方針の抜本的な見直しを進めている。
日本では過去10年間に、先島諸島のうち比較的大きな島である与那国島、宮古島と石垣島のそれぞれに陸上自衛隊の新しい基地が設置された。人口約1600人の与那国島には最新鋭の迎撃ミサイルシステムPAC3を扱う航空自衛隊のパトリオット部隊を配備し、山間部には長距離レーダー施設を設置して中国軍の動向を日々監視している。
6月24日には陸上自衛隊が北海道で、地上から艦艇を攻撃する「88式地対艦ミサイル」の国内初となる発射訓練を行った。日本はアメリカ製のトマホーク巡航ミサイルや国産の12式地対艦ミサイルなど、中国沿岸部を射程圏内に捉える兵器の調達も進めている。
防衛当局者らは中国が、先島諸島から北に約160キロの位置にあり、中国が領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)への侵攻に踏み切る可能性も念頭に置いている。米軍と自衛隊は敵に占領された日本の離島の奪還作戦を想定した共同訓練を行っており、今年は中国海軍が通る海上の要衝に対する対艦攻撃のシミュレーションも行った。