台湾有事が「日本有事」を誘発する可能性大...最前線の南西部離島で広まる危機感、備えは十分か?
THE WAR PREP ISLANDS
日米の同盟は米韓に比べてある程度、中国の脅威をオープンな問題として扱うことができる。韓国の場合、中国の脅威を声高に叫べばアメリカの軍事的関心や兵力が朝鮮半島から離れることになり、北朝鮮とにらみ合う現状にさらに問題が生じることになりかねない。
こうしたなかで日米が「台湾有事に対する備えを公表するという判断は、日本と台湾が公になっている以上に密接に連携している可能性も示していそうだ」と、スロバキアのシンクタンク「GLOBSEC」の非常勤研究員ブライス・バロスは指摘する。「これは地域の他の国々にとっても重要な問題を提起している。例えばフィリピン政府がバシー海峡にある島々について、どのような対策を講じるのかは興味深い。これらの島々も台湾有事の際には、最前線に立たされかねない」
台湾のシンクタンク「国防安全研究院」の王尊彦(ワン・ツンイエン)副研究員はこう語る。
「先島諸島に建設される避難シェルターが、台湾から逃れる難民の受け入れや支援にも使われる可能性は否定できない。台湾からの難民をめぐる懸念は2年ほど前に提起されており、この問題に関する議論は、ベトナム戦争終結後にボートピープルを受け入れた際の記憶を日本人に呼び覚ます可能性がある」