最新記事
ブルキナファソ

SNSで大人気の「プーチンの盟友」...アフリカ最年少指導者は英雄か新たな独裁者か?

The Young Putin Ally Winning Hearts Across Africa: Who Is Ibrahim Traoré?

2025年5月26日(月)16時30分
アミール・ダフタニ

トラオレとはどのような人物か?

トラオレはブルキナファソ西部のボンドクイ出身。首都のワガドゥグ大学で地質学を学んだ後、2010年に軍に入隊した。国内北部でのジハード主義勢力との戦闘において前線での経験を積み、その後は隣国マリでの国連平和維持活動(PKO)にも参加した。

2020年までに大尉へと昇進し、ブリキナファソ中部カヤに駐屯する砲兵部隊を指揮していた。政権が暴力の拡大を食い止められないことに不満を募らせ、当時の暫定大統領、ポール=アンリ・サンダオゴ・ダミバを打倒するクーデターを主導した。2022年10月、トラオレは暫定大統領に就任し、安全保障と国家主権の回復を誓った。


就任以来、トラオレはブルキナファソの経済的自立を推進している。外資支配を抑制するため国営鉱山会社を設立し、農業機械を配布し、地方道路や新空港などのインフラプロジェクトを立ち上げた。

トラオレ政権はIMFや世界銀行からの融資を拒否し、国内債務の整理を行っている他、公務員の給与を50%引き上げた。

また、外交方針も転換した。2023年にはフランス軍を追放し、フランスの長年にわたる軍事的駐留に終止符を打った。ロシア大使館の再開や、マリ、ニジェールとの間で「サヘル諸国同盟」を結成したことは、親ロ路線への傾倒の象徴と言える。

今年5月には、トラオレはロシアを訪問し、対ドイツ戦勝80周年記念式典に参加。プーチン大統領とも会談し、両国間の関係の深化を強調した。

しかし、こうした取り組みにもかかわらず、同国での暴力は激化している。国土の60%以上が国家の統制外にあり、200万人以上が避難を余儀なくされている。治安部隊には深刻な人権侵害の疑いがあり、国際的な監視を求める声も上がっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウォラーFRB理事、7月利下げ改めて主張

ビジネス

米関税影響「予想より限定」、年内2回利下げ妥当=S

ワールド

FRB議長、本部改修で政権に説明 適切な公的資源管

ワールド

ガザ停戦協議で最新案、カタールなど仲介国がイスラエ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 5
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 6
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 10
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中