最新記事
2024米大統領選

「世界を変える」2024年米大統領選...勝者は誰か?

THE WINNER OF 2024

2023年6月9日(金)14時30分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)
ドナルド・トランプ

REUTERS/Brian Snyder

<相次ぐ共和党候補の出馬表明、バイデンの再選を阻むのはトランプかデサンティスか、それとも......?>

ドナルド・トランプがアメリカ史上2人目の「非連続2期当選」を果たす大統領になる可能性は高い──去る5月7日、米ABCニュースはそんな調査結果を発表した(ちなみに1人目は19世紀末のグローバー・クリーブランドだ)。

その調査では、2024年にトランプに投票すると答えた人がジョー・バイデンを6ポイントも上回っていた。また健康状態と明晰さの点で、80歳の現職バイデンは前職トランプ(この6月14日で77歳になる)に及ばないとみる有権者が多かったという。これは痛い。

この時期の世論調査に一喜一憂しても始まらないが、民主党支持者にとっては悪夢だ。そもそも、バイデンが選挙人の数で勝つには一般投票でトランプに4ポイント以上の差を付ける必要がある。もしも選挙が今日行われたら、トランプの圧勝だ。

連邦議会議事堂への襲撃をけしかけ、性的暴行で訴えられた裁判では損害賠償を命じられ、事業記録の改ざんや機密文書の持ち出しなどで数々の起訴を免れようとしている人物よりも現職大統領の支持率が低いというのは、あり得ない話だ。

また、トランプのようなポピュリストは事前の世論調査より本番の選挙に強い。先のトルコ大統領選で再選を果たしたレジェップ・タイップ・エルドアンの戦いぶりを見れば分かる。かつてない高インフレや多数の死者を出した大地震に見舞われ、汚職が蔓延し、野党が統一候補を立てて選挙戦に臨むなか、選挙前にエルドアンの勝利を予想した世論調査は皆無に等しかった。ちなみにトランプは2016年も20年も大敗を予想されていたが、16年の大統領選では選挙人の数で勝利を手にした。20年には負けたが、僅差だった。

ちなみに筆者は、世論調査よりブックメーカーの予想を信用する。なにしろ金銭が懸かっているから、彼らは世論調査の数字に隠れたバイアスを修正してくる。そして現時点で、ブックメーカーの予想ではバイデン勝利の確率が36%、トランプが26%、共和党から出馬を表明したフロリダ州知事のロン・デサンティスが17%となっている。またトランプが共和党の候補指名を獲得する確率は56%、デサンティスは26%とされる。

興味深いことに、バイデンは民主党から出馬を表明した唯一まっとうな候補者でありながら(ほかに出馬表明しているジョン・F・ケネディ元大統領の甥で弁護士のロバート・ケネディJr.は陰謀論者で反ワクチン派だ)、民主党の候補指名を獲得する確率は70%程度とされている。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電

ワールド

中国、海南島で自由貿易実験開始 中堅国並み1130

ワールド

米主要産油3州、第4四半期の石油・ガス生産量は横ば

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中