最新記事

アフガニスタン

トランプ:米軍撤退の前にアフガニスタンの基地を「木っ端微塵に」すべきだった

Trump Says Biden Should Have Bombed Afghanistan Bases to 'Smithereens'

2021年8月20日(金)14時43分
ジェニ・フィンク
トランプ

バイデンの失態を見逃さないトランプ Shannon Stapleton-REUTERS

<アフガニスタンにタリバン支配を復活させたバイデンの米軍撤退をトランプが批判>

アフガニスタンのイスラム主義タリバンが8月15日に電光石火の速さで首都カブールを陥落させてから、ドナルド・トランプ前大統領がバイデン政権に対する批判をここぞとばかりに強めている。トランプは19日、ジョー・バイデン大統領の米軍撤退が早過ぎたと批判した。軍を撤退させるのはすべてが終わってからにすべきだった、という。

米軍撤退の間隙を縫ってタリバンがアフガニスタンの実権を握ったことに対し、バイデン政権には与党・民主党からも非難の声が上がっている。だがバイデンは、20年に及んだアフガニスタン戦争を終わらせることを正当化した。そもそも撤退で合意したのは当時まだ大統領だったトランプのほうだとし、一方のトランプは自分が大統領ならこんな撤退のやり方はしなかったと反論している。

軍が真っ先に撤退するのはおかしい

19日の声明でトランプは、バイデンはまず米国民全員を国外に退避させ、米軍の機材等を運び出してから、基地を「木っ端微塵」に爆撃しておくべきだった、と言う。兵員が去るのはその後だ。

「誰もバイデンのように逆にやったりしない」と、トランプは言う。普通にやれば「混乱もなく死者もなく、我々がいなくなったことにさえ誰も気づかなかった」はずなのだ。

実際、米軍が撤退を始めると、タリバンはあっという間にアフガニスタンの支配を取り戻した。厳格なイスラム法にこだわるタリバン支配が突如として復活し、女性たちはブルカを買うため店に走り、タリバンを恐れる人々は国外に脱出するため首都カブールの空港に殺到した。撤退は責任ある形で行われるし、タリバン支配が復活することは「ほとんどあり得ない」とバイデンは言っていたが、まったく逆の結果だ。

18日にABCテレビに出演したバイデンは、この誤りが生じたのは「情報が誤っていた」せいか「事態を甘く見ていた」せいか聞かれると、国のために戦わずして逃げたアフガニスタン政府軍を責めた。「こんなこと、誰が想像できただろうか」

20240604issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジルCPI、5月中旬の前月比伸びは予想下回る 

ワールド

ローマ教皇が異例の謝罪、同性愛者に差別的表現

ワールド

イスラエルのラファ作戦は「大規模」でない、米高官が

ビジネス

米Tモバイル、USセルラーの携帯事業買収へ 44億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中