最新記事

クルーズ船

再開は早過ぎた?クルーズ船でクラスター発生、寄港先市町村にも拡大か

Cruise Ship Line Halts All Trips After 36 Crew, 5 Guests Get COVID-19

2020年8月4日(火)15時55分
カレダ・ラーマン

ノルウェー海を北から南に航行するフッティルーテンのクルーズ船 Diego Fiore-iStock.

<新型コロナウイルスの集団感染で世界中のクルーズ船が停止した後、いち早く再開したノルウェーのロアール・アムンセン号だが、ミスを犯したと船長が謝罪>

ノルウェーのクルーズ船運航会社フッティルーテンは8月3日、乗員36人と乗客5人が新型コロナウイルスの検査で陽性だったことを受け、今後のすべての運航を停止すると発表した。

感染者が確認されたのは、ロアール・アムンセン号。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が発生し、世界各地でクルーズ船が運航停止となったなか、世界で初めて再開したクルーズ船のひとつだった。

ロアール・アムンセン号がノルウェー北部のトロムソ港に寄港した7月31日、乗員4人が病院に搬送され、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応が出た。

フッティルーテンは現在、その4人のほかに、乗員32人と乗客5人も新型コロナウイルス感染症の検査で陽性が判明したことを認めている。同社によると、感染者のうち32人がフィリピン人で、それ以外はノルウェー人、フランス人、ドイツ人だという。

フッティルーテンのダニエル・シェリダン最高経営責任者(CEO)は8月3日に声明を発表し、クルーズ船の全運航を無期限で停止すると述べた。

「私たちは過ちを犯した」

「新型コロナウイルス感染症の新規感染者が現在、世界的に増加しているのを踏まえると、私たちにできる唯一の責任ある決断は、安全性に確信を持てるようになるまで、当局の要件と、私たちが自ら設定したより厳格な要件を満たせるようになるまで、すべてのクルーズを休止することだ」とシェリダンは述べた。

「乗客乗員の安全と健康は、フッティルーテンにとっての最優先事項だ。私たちは現在、できる限り手を尽くして、乗客と従業員への対応を行っている」とシェリダンは続けた。

「ノルウェー政府ならびに地元自治体の保健当局と緊密に連携し、追跡調査や情報収集、追加検査の実施、接触者の追跡にあたっている」

AP通信によると、感染が判明した乗員乗客41人は全員、トロムソにある北ノルウェー大学病院に入院している。

AP通信に向けた声明のなかでシェリダンは、予備調査によると「内部手順のいくつかで不備」が見つかったと述べた。

シェリダンは続けて、同社は「すべての手順、ならびに自社の対応におけるすべての側面について、全体的な見直しを行っている最中」であると述べた。

シェリダンは今回の集団感染について謝罪し、こう述べた。「私たちは過ちを犯した。フッティルーテンの全員を代表して、今回の事態についてお詫びしたい。責任はすべて私たちにある」

<参考記事>クルーズ船の外国人船員を忘れるな──押し付けられた危険任務
<参考記事>巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物、週間で2%超安 堅調な米経済指標受け

ワールド

米大統領選でトランプ氏支持、ブラックストーンCEO

ビジネス

米国株式市場=反発、ナスダック最高値 経済指標が追

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、利益確定で 経済指標堅調で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリン・クラークを自身と重ねるレブロン「自分もその道を歩いた」

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 6

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 7

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 8

    テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる─…

  • 9

    日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 10

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中