最新記事

2020米大統領選

サンダース、ブティジェッジ、バイデン...... 米民主党の大統領選指名争い、混迷深まる

2020年2月17日(月)12時22分

米大統領選の民主党指名候補選出で第1陣のアイオワ州党員集会と次のニューハンプシャー州予備選が終了。写真は1月、アイオワ州デモインで開かれた民主党候補者討論会に参加する(右から)クロブシャー氏、ブティジェッジ氏、サンダース氏、バイデン氏、ウォーレン氏(2020年 ロイター/Shannon Stapleton)

米大統領選の民主党指名候補選出で第1陣のアイオワ州党員集会と次のニューハンプシャー州予備選が終了、結果が順調だったサンダース上院議員は党左派の旗手として立場を固めたと考えているかもしれない。しかし、一方で、同氏をかわす候補の元に、はせ参じたいと考えている穏健派にとっては、情勢は一段と不透明にさえなってきた。

インディアナ州サウスベンド市長のブティジェッジ氏は、アイオワ州では僅差ながらの勝利で、穏健派からの好感をしっかり得たとみられたが、それもニューハンプシャー州でクロブシャー上院議員が善戦するまでだった。同州で2人はおおむね、穏健票をほぼ分け合う結果になった。

アフリカ系と中南米系国民の支持が高いただ1人の穏健候補であるバイデン前副大統領は、2州で大きく出遅れたが、非白人人口の多い次のネバダ州とサウスカロライナ州での雪辱を誓っている。

ブティジェッジ、クロブシャー、バイデンの3氏は、ブルームバーグ前ニューヨーク市長のスーパーチューズデー(3月3日の10州以上での予備選)からの参戦にも備えつつある。ブルームバーグ氏はカリフォルニア州やテキサス州など資金のかさむ州で戦うために、前代未聞の規模の個人資金を投入する選挙運動を繰り広げている。

序盤2州の結果は、本選でトランプ大統領を打ち負かすための候補指名争いはこれから何週間も、場合によっては何カ月も続くかもしれないことを示唆している。最終的にだれが最も穏健派の支持を集められるかが鍵になりそうだ。

ニューハンプシャー州予備選は開票率91%段階で、ブティジェッジ、クロブシャー、バイデン3氏の合計が53%。サンダース氏と同じく左派のウォーレン氏を合わせた35%を大きく上回った。無党派や共和党支持者も含めた幅広い有権者にアピールする可能性のある中道派候補が選ばれやすいことの表れかもしれない。

ボストン大学の政治学者デービッド・ホプキンズ氏は、サンダース氏が「代議員獲得で大きくリードするのはまだ容易ではない」と語る。「もし他の候補者たちも健闘して誰も脱落しない場合でも、われわれは前に進んでいかなければならない」

民主党指名候補選出では、代議員3979人のうちアイオワ州とニューハンプシャー州への割り当ては65人にすぎない。

パニック

サンダース氏はヒラリー・クリントン氏との一騎打ちとなった2016年のニューハンプシャー州予備選では60%を得票したが、今回は30%に届かなかった。とはいえ、サンダース氏が辛勝したことで、勢いを増すチャンスを得たのは間違いない。

民主党主流派の大半は、筋金入りのリベラル派であるサンダース氏ではトランプ氏に勝てないだろうと懸念している。

民主党のストラテジスト、ジョエル・ペイン氏は「サンダース氏が首位に付くとの見方で、民主党主流に一種のパニックが始まっている」と話し、「そんな話がかつてないほど聞こえてくる」とも指摘した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国と中国、外交・安保対話開始へ 3カ国首脳会合前

ワールド

岸田首相、日本産食品の輸入規制撤廃求める 日中首脳

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 4

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 8

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中