最新記事

内戦

【写真特集】内戦勃発から5年、南スーダンを覆う絶望

2018年12月20日(木)17時00分
Photographs by EMIN ÖZMEN

民間人保護区内にある避難民キャンプの人々(ベンティウ近郊、11月)

<内戦勃発から丸5年が経過したスーダンでは、武装勢力が民間人を強姦や強奪の標的にする絶望的な状況が続いている>

南スーダンでは、スーダンとの闘争を経て2011年に独立した直後から、キール大統領とマーシャル副大統領(当時)の両派が対立した。13年以降にはその政治的対立が、各派の支持基盤である民族間の紛争となり、内戦状態が丸5年続いている。

今年9月、両者が和平協定に調印したものの、北部のユニティ州では、一般市民が交戦中の勢力から直接のターゲットにされている。国連によれば、内戦開始以来220万人以上の民間人が住まいを追われ、そのうちの約12万人がユニティ州ベンティウ近郊にある民間人保護区には身を寄せているという。

先月30日、NPO国境なき医師団(MSF)は、ベンティウ近郊で人道援助のために設置された食糧配給所へ向かう女性たちを狙った強姦が多発し、過去10日間で、妊婦や10才の少女を含む125人がレイプ被害に遭った、と発表した。さらに、棒や銃床で殴打されたり、なけなしの金銭や食糧配給カードが強奪されたケースもある。

多大な犠牲を払って独立した新国家は、希望への第一歩を踏み出したはずだった。しかし、国づくりは破綻し、紛争の中で行き場を失った人々は、未来を描けないままに命を繋いでいる。


ppsudan02.jpg

避難民キャンプの中で遊ぶ子供たち(ベンティウ近郊、11月)


ppsudan03.jpg

徒歩2時間の距離を隣人に担がれてMSFのクリニックに来たニガイ(50)。病院の略奪が何度も起きているため、州南部にMSFの安定的な医療施設はない(ユニティ州ドージャック近郊、11月)


ppsudan04.jpg

MSFのクリニック。医療援助は木の下などで行われている(ユニティ州ドージャック近郊、11月)


oosudan05.jpg

クリニックの近くで出会った女性。今年の内戦中に政府軍兵士5人からレイプされ、性感染症を心配している(ユニティ州ドージャック近郊、11月)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中