最新記事

中国経済

スターバックス、競争激化の中国でデリバリー開始 アリババと提携

2018年8月2日(木)14時32分

8月1日、米コーヒーチェーン大手のスターバックス(スタバ)は、中国の電子商取引大手、アリババ・グループ・ホールディングと提携し、中国でコーヒーの配達サービスを開始すると発表した。写真はスタバのロゴ。北京で2012年4月撮影(2018年 ロイター/Jason Le)

米コーヒーチェーン大手のスターバックス(スタバ)は2日、中国の電子商取引大手、アリババ・グループ・ホールディングと提携し、中国でコーヒーの配達サービスを開始すると発表した。中国の売上高を底上げするとともに、国内の新規コーヒーチェーンとの激しい競争で優位に立つことを目指す。

スタバのジョンソン最高経営責任者(CEO)は上海で記者団に対し「われわれはすぐにここが現代の小売りに特化したワールドクラスのテクノロジー企業であることを理解した」と指摘。「私はこの戦略的パートナーシップがスターバックスの成長と中国事業の拡大を大きく後押しするものになる考えている」と述べた。 アリババ傘下のネット出前サービス「餓了麼」と連携して9月から北京と上海の150店舗でまずサービスを始め、年末までに30都市2000店舗に拡大する。 アリババ傘下のスーパー「盒馬」、オンライン小売の「天猫」と「淘宝網」、モバイル・オンライン決済アリペイなど、アリババのグループ企業と幅広く連携する。 餓了麼に登録している出前サービスを担う300万人の運転手を活用。また、盒馬の店舗内に「スターバックス・デリバリー・キッチンズ」を設け、盒馬の宅配システムを使う計画。

餓了麼の王磊CEOによると、スタバの注文を30分以内に届ける計画だという。

ジョンソンCEOは、提携合意の一部は独占的なものだと説明。ただ、詳細については明らかにしなかった。その後、スターバックス・チャイナのべリンダ・ウォンCEOが、餓了麼との提携が独占的な契約になっていることを明らかにした。

スターバックスとアリババは、1年以上にわたって提携交渉を行っていたと明らかにした。金銭面の詳細については明らかにしていない。 スタバの第3・四半期(7月1日まで)決算は、中国の既存店売上高が2%減少した。前年同期の7%増から大きく落ち込んだ。

上海に拠点を置く調査・マーケティングコンサルタント会社「チャイナ・スキニー」のマーケティングマネジャー、アンドリュー・アトキンソン氏はロイターに対し、こうした提携は中国事業が大きな困難に直面しているスタバにとって「自然な反応」だと指摘。「これらのアプリに掲載されていなければ大きなビジネスチャンスを逃すことになる」と述べた。

また、今回の提携について、4月に完全買収した餓了麼の事業拡大を推し進めているアリババにとってもメリットが大きいとの認識を示した。

[上海 2日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中