最新記事

米外交

米国務省「金曜日の虐殺」、幹部が続々と退職 トランプへの不満か

2017年8月29日(火)16時30分
コラム・リンチ

ジェイコブソンは早期退職を希望していることを認めている。ジョージ・W・ブッシュ政権ならびにバラク・オバマ政権時代に、コソボ、タジキスタン、トルクメニスタンの大使を歴任した30年のキャリアに終止符を打つことになるが、早期退職を決めた理由に関してはコメントしなかった。

国務省報道官のヘザー・ナウアートは、フォーリン・ポリシー誌に宛てた8月27日付けのメールの中で、「ジェイコブソンは8月25日に、職員に対して退職する意向を発表した。30年にわたって外交官を務めたジェイコブソンに、心から感謝している」と述べている。

ジェイコブソンが、多面的な問題にあたる同局のトップに任命されたのは今年の1月20日だ。その日はトランプが「アメリカファースト」を掲げて大統領に就任した日。トランプはアメリカが、北大西洋条約機構(NATO)から国連に至る国際機関に深く関与することに異議を唱えている。ジェイコブソンの前任者は、オバマ政権が政治任用したバスシーバ・クロッカーだった。

トランプは9月19日に国連総会で初めて演説を行う予定となっている。また、国連訪問中には、国際機関の改革について話し合うサイドミーティングで議長を務める見込みだ。

予算削減の一点張り

だが、国連事務総長アントニオ・グテーレスが開催する飢饉をテーマにしたハイレベル会合に、トランプが出席する計画は見送られた。その代わりに、米国際開発庁の高官が出席する予定だ。

こうした動きによって、国連や活発な外交活動の価値を認めないトランプ政権の姿勢が、各国代表団に強く印象付けられると見られる。

ホワイトハウスは、国務省の予算を最大で37%削減するよう求めている。また、国連に対してはさらに大幅な削減要求を突きつけており、国連大使ニッキー・ヘイリーは、来年の国連による平和維持活動(PKO)予算が前年比で6億ドル以上削られることになったことを誇っている。

(翻訳:ガリレオ)

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中