最新記事

米大統領

トランプ最大の試練か マクロンとの高級ディナーは悪夢

2017年7月11日(火)19時28分
ティム・マーシン

ハンバーガー好きで知られるトランプ Lucas Jackson-REUTERS

<偏食で階段恐怖症のトランプにとって至上最悪のディナーになるかもしれない...>

エッフェル塔の上層のレストランで、最高のシェフが手掛ける素晴らしいコース料理を待ちながら階下に目を向ければ、街の明かりが瞬く――まるで夢のような話だ。

これは14日のフランス革命記念日の祝賀式典に参加するためにパリを訪れる予定の、ドナルド・トランプ米大統領が体験するであろうディナーだが、トランプにとって悪夢になる可能性がある。

ニューヨーク・タイムズのホワイトハウス特派員でトランプに関する報道で知られるマギー・ハーバーマン記者は10日、トランプとエマニュエル・マクロン仏大統領のこの夕食会について「トランプにとって楽しいわけがない」とツイッターに投稿した。

トランプにとって夕食会が辛くなる理由はたくさんある。まず、食事を共にするマクロンとの関係が良くないこと。トランプは、フランス大統領選でマクロンの対抗馬だった極右政党「国民戦線」(FN)のマリーヌ・ルペン党首をはっきりと称賛していた。さらに、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から抜けた。(報道によればこの食事会は、マクロンからトランプに協定脱退を考え直すよう説得できるチャンスだ)。

しかし問題は、食事そのものかもしれない。エッフェル塔の上層にあるお洒落なレストランでは、文字通りのお洒落な料理が並ぶ。一部報道によると、木曜の夕食会の間は一般の入場は制限されるという。地元週刊誌パリ・マッチによると、レストランは、世界的に有名なシェフのアラン・デュカスがプロデュースする1つ星の「ル ジュール ヴェルヌ」で、価格帯は約260ドル(約3万円)。ロブスターとキャビアが登場するだろうと言われ、ワシントン・ポスト紙も同レストランのお勧めメニューは、「caviar-laden golden potatoes from Noirmoutier(キャビア盛り、ノワールムティエ産のジャガイモとともに)」だと伝えている。

【参考記事】トランプ訪仏でマクロンと握手対決再び、リベンジへの秘策

外遊先でも「良く焼いたステーキのケチャップ大盛り」

これはトランプにとって試練になる可能性が高い。偏食で知られるトランプの好物は、トマトケチャップをたっぷりかけた良く焼いたステーキにダイエット・コーラ。そして特にマクドナルドやケンタッキーといった大量のファストフード、ミートローフ(減量手術を受けたニュージャージー州のクリス・クリスティ知事に同じメニューを注文させたことを同知事が告白している)が大好きだ。もちろん、メラニア夫人の手料理も。トランプはかつて「メラニアは想像力が豊か」で、「スパゲッティもミートソースも手作りする」とニューヨーク・タイムズに語った。

もしトランプの口に合わない食事が出てきたとしても、5月に訪問したサウジアラビアでは様々な調整の結果、大好きなステーキとケチャップにありつくことができた。

しかし問題はもうひとつ。

トランプは急な階段が苦手だ。今年1月にテレサ・メイ英首相と手を繋いで歩く姿が報じられ、BBCに階段や傾斜に対して恐怖を感じる「階段恐怖症」だと指摘されている。同じく訪問先のイスラエルでケーブルカーに乗るのを拒否したこともある。

地上125メートルの高さにあるレストランに登っていくエレベーターは、トランプの恐怖心を目覚めさせるかもしれない。

【参考記事】初外遊の憂鬱、トランプはアメリカ料理しか食べられない!
【参考記事】トランプは金正恩とハンバーガーを食べるのか?

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アマゾン熱帯雨林は生き残れるか、「人工干

ワールド

アングル:欧州最大のギャンブル市場イタリア、税収増

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中