最新記事

アメリカ経済

トランプ政権、税制改革案発表 法人税15%に下げ企業の競争力強化へ

2017年4月27日(木)10時00分

 4月26日、トランプ米政権は、法人税減税や海外利益に対する税率引き下げなどを柱とする税制改革案の概要を発表した。ロサンゼルスの税務署(2017年 ロイター/Mike Blake)

トランプ米政権は26日、法人税減税や海外利益に対する税率引き下げなどを柱とする税制改革案の概要を発表した。

トランプ大統領の就任100日目を29日に控え、同政権は極めて重要な改革案と位置づける。ただ、歳入押し上げに向けた具体策に欠ける中、財政赤字の拡大につながる可能性も拭い切れない。

税制改革案は、ムニューシン財務長官とコーン国家経済会議(NEC)委員長が発表。ムニューシン長官は「中核となる基本指針」と指摘し、これをたたき台に議会を通過する法案の作成に向けて今後議会とつめていく意向を示した。

同改革案では、公的企業の法人税税率を現行の35%から15%に引き下げる。

海外還流利益の税率については、現行の35%から大幅に引き下げることを検討。ただ、ムニューシン長官は、政権と議会が新たな水準をめぐり意見のすり合わせを行っているとし、明確な数字は示さなかった。

米企業は現在約2兆6000億ドルの利益を海外に滞留させており、米政府はこうした資金が米国に還流されない限り課税はできない。トランプ政権は還流を促しているが、税率は低水準にとどめることを提案。実施に移されれば歳入が一時的に押し上げられ、インフラ投資の原資に回せるため、民主党の支持を得られる可能性がある。

個人については、税率区分を現在の7区分から3区分(10%、15%、35%)に減らす。

今回の改革案には、減税分を補完する手段として下院共和党が提案した「国境調整税」は含まれない。

ライアン下院議長は国境調整税を提唱してきたが、同改革案を「大変気に入っている」とし、同案に対する楽観的な見方を表明。

ライアン議長のほか、上院のマコネル共和党院内総務を含む共和党幹部は声明で、「トランプ政権が打ち出した指針は(政権と議会が税制改革で協議を進める際の)重要なガイドポストとなる」との見解を示した。

トランプ政権の税制改革案に対し、米国商工会議所を含む経済団体は、税制改革に向けた初めの一歩に過ぎないとしながらも歓迎する意向を表明。ただウォルマート・ストアーズやターゲットなどの大手小売業で構成する小売業リーダー協会(RILA)は、国境調整税の導入にあらためて反対する立場を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金価格が1%超安、米英の貿易協定合意受け

ワールド

インド・カシミール地方全域で爆発音、パキスタン側は

ワールド

トランプ氏、対中関税引き下げの可能性示唆 週末の米

ビジネス

貿易戦争の長期化、カナダ経済と金融安定性への脅威=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 8
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中