最新記事

日本

天皇陛下の「生前退位」に興味津々の英国──最も高齢の王位継承者チャールズ皇太子に道は開けるか?

2016年7月14日(木)21時00分
小林恭子(在英ジャーナリスト)

昨年12月23日、82歳の天皇誕生日に Thomas Peter-REUTERS

 日本で天皇陛下の「生前退位」の可能性が報じられた13日、英メディアも速やかにこれを追った。

 一定の長さの記事を出した英BBCとフィナンシャル・タイムズ(FT)紙(両方とも13日付)の報道を見てみよう。

 BBC(「日本のアキヒト天皇が『退位を望む』」)は陛下が「皇室を第2次世界大戦中の攻撃的な国粋主義と切り離したことで高い評価を受けてきた」と記す。1989年、「日本では現人神と見なされてきた昭和天皇を引き継いだ」。昭和天皇の現人神の地位は「日本の戦後憲法を起草した、戦争に勝利した米国人によって奪われた」。

近代日本に例のない出来事

 この後、天皇陛下が2003年に前立腺ガンの手術を、4年前には心臓の冠動脈バイパス手術を受けていることを説明。2011年の東日本大震災では異例のテレビ演説を行ったことを補足している。

 最後に、天皇陛下についての5つの事柄を挙げている。

 「陛下はより現代的なスタイルを採用し、皇室を国民により親しみやすいものにする努力をしている」。

 「1959年に平民とご成婚。二人の愛の物語は国民の心をとらえ、『テニスコートのロマンス』と言われている。二人がネット越しに出会ったからだ。陛下と美智子様の間には3人の子供がいる」。

 「陛下は第2次大戦の傷をいやすために努力しており、昨年、このように述べている。『ここに過去を顧み、先の大戦に対する深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民とともに、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります』」。

 「2002年に韓国と共同開催したサッカー・ワールドカップでは、朝鮮半島系の祖先がいることを認めた。朝鮮半島を植民地化したという苦い歴史を持つ日本の多くの人を驚かせた」。

 「陛下の趣味は海洋生物学で、ハゼの研究が専門だ」。

 FTの記事(「日本の公共放送がアキヒト天皇が退位を準備」)では、「近代日本では前例がない出来事」は「2-3年後に実現するかもしれない」と報じた。そうなれば「200年で初めてになる」(前回、天皇陛下が生前退位した例として、FTは江戸時代の光格天皇を挙げている)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中