海外の高級車市場戦略描く中国の吉利、ボルボとの協業軸に
「互いに学び合う」
数字をみる限り、吉利とボルボの協業は実を結んでいるようだ。最大市場である中国での需要拡大を主な背景に、ボルボの昨年の利益は3倍に膨らんだ。
ボルボのハカン・サミュエルソン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「われわれはゼロからスタートし、工場3カ所、人員5000人、200のディーラーを抱えるようになった」と述べた。高級車市場での攻勢が功を奏し、今年は過去最高の販売を見込む。
吉利は昨年、中国自動車市場の減速を乗り越え、市場全体の成長率が4.7%にとどまる中、22%の販売増を実現した。
ホーベリー氏は「両社は互いに学び合うことができている」と指摘。ボルボの人間的な観点に立ったデザインアプローチと、中国人の「やってやろう」精神がうまく融合しているという。
同氏は吉利の「借り部屋」でスタッフ6人でスタート。今ではヨーテボリ、上海、バルセロナ、カリフォルニアにいる350人のデザイナーを束ねる立場だ。
吉利の創業者でもある李書福董事長も度々スウェーデンのスタジオを訪れている。
ホーベリー氏は李董事長の仕事のやり方は、自身がこれまでに仕えた欧米の上司のスタイルと大きく異なっていると語る。ある時は付箋紙が沢山貼り付けられたいくつかの本をスタジオに持ってきたこともあるという。
ホーベリー氏は「岩石層に関する地質学の本や、中国の風景、建築、ファッションに関する本だった。次の吉利に向け、デザイナーの感性を刺激しようとしていた」と語った。
(Helena Soderpalm記者、Mia Shanley記者 執筆協力:Edward Taylor in Frankfurt and Jake Spring in Shanghai 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)