最新記事

中国人観光客

銀座定点観測7年目、ミスマッチが目立つ今年の「爆買い」商戦

日本側は準備万端だが、マナーの悪い中国人は消え、注目の大型免税店は閑古鳥、個人旅行客の本音は……

2016年2月4日(木)19時14分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

中国側の変化と日本側の対応を追って 2010年ごろから春節や国慶節(建国記念日)、ゴールデンウィークなど長期休暇のたびに銀座を取材してきた Sean Pavone-iStock.

 2016年の春節(旧正月)は2月8日。昨年に引き続き、真冬の日本に熱い「爆買い商戦」の季節が到来した。

 昨年の新語・流行語大賞に選ばれた「爆買い」だが、世間の注目を集めたのは2015年の春節商戦でのこと。膨大な数の中国人観光客が押し寄せ、買い物に興じる姿がメディアで大々的に取り上げられた。日中首脳会談による雪解けムード、ビザ発給要件緩和、円安といった条件が重なったことが追い風となった。2015年2月に日本を訪問した中国本土の観光客は35万9000人。前年比260%増という驚異的な伸びを見せた。

【参考記事】日本企業が「爆売り」すれば、爆買いブームは終わらない

 中国でも日本旅行ブームは話題となった。特に「智能便座」(直訳すればスマート便座。温水洗浄便座の意)が流行語になり、「中国企業には真っ当な便器を作る能力すらないのか」「日本企業の中国工場で作られた便座を、わざわざ日本で買って帰る必要があるのか」といった"便座論"がメディアをにぎわせた。

40~50代の成り金から20~30代の若い夫婦へと客層に変化

 日本の多くの小売店にとって昨年の春節商戦はサプライズだったと思われるが、今年は銀座、新橋、渋谷、新宿など各地に巨大免税店がオープンするなど準備は万端だ。その"戦場"の1つ、銀座を訪れた。

 私は2010年ごろから春節や国慶節(建国記念日)、ゴールデンウィークなど長期休暇のたびに銀座を取材している。2010年の尖閣諸島沖衝突事件直後の中国人の"消失"が一番印象的だったが、定点観測を続けることで中国側の変化、日本側の対応の双方を追っている。

 昨年からの日本旅行ブームで一番印象的なのは、客層の変化だ。2010年頃の中国人旅行客といえば、ツアーでやってきた地方の成り金や企業幹部とその家族が多く、年齢は40代から50代が中心。日本ではまず見ない、孔雀のようにごてごてと着飾った姿が印象的だった。

 一方、現在の日本旅行ブームでは20代後半から30代前半の若い夫婦の姿が目につく。中国人の所得増加と円安を背景に、より若い世代が日本旅行を楽しめるようになったわけだ。服装だけでは日本人と区別できないことも多い。中国メディアでは「タバコのポイ捨て、歩きタバコ、大声で話す」が中国人旅行客の悪癖3点セットとしてよく取り上げられるが、そうした光景もあまり見なくなった。

「マナーの悪い中国人が大挙襲来、銀座の雰囲気がだいなしに」は日本メディアにありがちな切り口。昨年の旧正月など大きなカメラを持った報道関係者が銀座各所にひかえていたが、子どもに道端でおしっこをさせた母親という事例が見つかったぐらいで、ほとんどのメディアが空振りに終わっていた。

中国人対応に必死の日本人、「そのままの日本」を体験したい中国人

 さて、今年の銀座について。

 最大の注目は1月27日に三越銀座店にオープンした「Japan Duty Free Ginza」だろう。8階全フロアぶち抜きのショップは「空港型市中免税店」との位置づけだ。一般の免税店は消費税だけが免除だが、ここでは関税、酒税、たばこ税なども免税となる。不正ができないよう店頭での商品引き渡しはなく、出国時に空港で受け取ることになる。日本に来た外国人だけでなく、海外旅行に行く日本人も利用できる仕組みとなっている。

ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落、円高が重荷 好決算の安川電機が急伸

ワールド

米ロ首脳は非公式に対話、秘密会談でない=クレムリン

ビジネス

ドル111円後半で一進一退、ユーロは高原状態保つ

ワールド

豪中銀、住宅価格上昇による家計債務増大を懸念=ブロ

MAGAZINE

特集:劉暁波死去 中国民主化の墓標

2017-7・25号(7/19発売)

ノーベル平和賞受賞者・劉暁波の「非業の死」は中国民主化の終わりか、新たな始まりか

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    宇宙からのメッセージ!? 11光年先の惑星から謎の信号

  • 2

    中国が「くまのプーさん」を検閲で禁じたもう1つの理由

  • 3

    ソーシャルメディアはアメリカの少女たちから何を奪ったか

  • 4

    「インドと戦う用意ある」中国が中印国境で実弾演習

  • 5

    アメリカの部活動は、なぜ「ブラック化」しないのか

  • 6

    中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能…

  • 7

    「チョコレートは、あなたの脳力をブーストする」と…

  • 8

    日本人ウーバー運転手が明かす「乗客マッチング」の…

  • 9

    くまのプーさんと習近平----中国当局が削除する理由…

  • 10

    スワローズ戦の3塁席で僕が失った表現の自由

  • 1

    軍事でも外交でもない、北朝鮮問題「第3の解決策」

  • 2

    宇宙からのメッセージ!? 11光年先の惑星から謎の信号

  • 3

    トランプ、仏マクロン夫人に痴漢発言「肉体的に素晴らしい」

  • 4

    ロシアが北朝鮮の核を恐れない理由

  • 5

    「休みたいから診断書をください」--現役精神科医「…

  • 6

    アメックスから見た、日本人がクレジットカードを使…

  • 7

    劉暁波の苦難は自業自得? 反体制派が冷笑を浴びる国

  • 8

    アメリカの部活動は、なぜ「ブラック化」しないのか

  • 9

    ドン・キホーテの格安4Kテレビが速攻で完売した理由

  • 10

    中国が「くまのプーさん」を検閲で禁じたもう1つの理由

  • 1

    中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能が麻痺する

  • 2

    アメックスから見た、日本人がクレジットカードを使わない理由

  • 3

    米学生は拷問されたのか? 脱北女性「拷問刑務所」の証言

  • 4

    就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

  • 5

    モンゴル人を大量「虐殺」 記憶遺産に値する中国の罪

  • 6

    「地球の気温は250度まで上昇し硫酸の雨が降る」ホー…

  • 7

    アジアに迫るISISの魔手 フィリピン・ミンダナオ島…

  • 8

    資本主義はついにここまで来た。「自分」を売り出すV…

  • 9

    海自の護衛艦いずも 南シナ海でレーダーに中国軍と…

  • 10

    人類滅亡に備える人類バックアップ計画

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月
  • 2017年4月
  • 2017年3月
  • 2017年2月