最新記事

アジア

南シナ海でインドが中国に送った挑戦状

ベトナムと共同で南シナ海の油田開発を行うと発表したインド。真の狙いは資源ではなく、中国を挑発することだという見方も

2011年11月14日(月)15時29分
ジェーソン・オーバードーフ

厄介なライバル インドのシン首相と中国の胡錦濤主席の本心は?(写真は中国・海南島で4月に開かれたBRICsサミットにて) Nelson Ching-Pool-Reuters

 インドは9月中旬に、南シナ海の油田開発をベトナムと共同で行うと発表したが、この動きに中国が猛反発している。

 中国の国営新華社通信は社説で、「中国が絶対的な領有権を持つ」南シナ海での活動を控えるようインドに警告。さらに外務省の報道官が、南シナ海の領有権問題については非当事国が介入しないよう牽制した。

 復旦大学の教授は、インドがベトナムとの共同開発で合意したのは中国への挑発行為だと分析する。「近年ビルマ(ミャンマー)やパキスタンなどインド周辺諸国との関係強化を加速させる中国の動きに、インドは神経をとがらせている」と、沈は人民日報系の環球時報に語った。

 中国による「真珠の首飾り」包囲網を恐れるインド、中国海軍への対抗策としてインド海軍に肩入れするアメリカ、アメリカによる中国封じ込めを警戒する中国──アジアの覇権をめぐる三つどもえだ。

 さらに最大280億バレルの原油が眠るとされる南シナ海の領有権を、中国、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアが主張している。まさに「火種」が眠る海だ。

[2011年10月 5日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

バーゼル委、銀行監督規則を強化 気候変動関連リスク

ワールド

韓国財政、もはや格付けの強みではない 債務増抑制を

ワールド

米最高裁、トランプ氏免責巡り一定範囲の適用に理解 

ワールド

岸田首相、5月1─6日に仏・南米を歴訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中