最新記事

政治

世界で一番ハチャメチャな国会はどこ?

2009年9月18日(金)17時16分
ジョシュア・キーティング

■ウクライナ

●背景 04年のオレンジ革命以来、ウクライナ議会は荒れ模様になり、与党連合のオレンジ同盟が親ロシア勢力との喧嘩騒ぎを繰り広げている。

●注目の事件 オレンジ革命以前も議会の混乱はあったが、近年は特に状況が悪化している。06年の選挙で親ロシア政党が勝つと、オレンジ革命派の議員はサイレンを鳴らしたり、卵を投げつけたりしてビクトル・ヤヌコビッチの首相選出を妨害した。殴り合いも起き、政府寄りの議員が議場で投げ飛ばされる一件があった。

 最近では08年のNATO(北大西洋条約機構)加盟をめぐる審議で、議員十数人が小競り合いになった。その数カ月前には、ユーリー・ルツェンコ内相が会談中のキエフ市長の顔を叩き、股間を蹴ったばかりだった。ルツェンコは今年、フランクフルト空港で酔っ払って警備員と喧嘩し、停職処分を受けている。

■イギリス

●背景 乱闘騒ぎはほとんどないイギリス国会だが、質疑応答では首相や与党に議員からヤジが飛ぶ。

●注目の事件 トニー・ブレア前首相のように野党との対決するのを楽しめる首相もいる。一方、その顔が「スターリンからミスター・ビーン」に変わる、とからかわれているゴードン・ブラウン首相のように質疑応答が嫌いな首相もいる。

 議員からのヤジやブーイングは日常茶飯事で、かなり巧妙に練られた非難も飛び出す。そうした発言を撤回させるのはかなり面倒だが、ある議員が女性議員を「二流のミス・マープル(アガサ・クリスティの推理小説に登場する老婦人)」と呼んで、けん責されたことがある。

 オバマへの「嘘つき」発言をめぐってしばしばイギリス議会が引き合いに出されているが、イギリスでも誰かを嘘つき呼ばわりすれば問題視される。首相の質疑応答でウィルソンがそう発言したら、撤回を求められるだろう。しかし、労働党のトニー・バンクス議員がかつてやったように、マーガレット・サッチャーを「セックスに飢えた大ヘビ」に例えるのは問題ない。

■オーストラリア

●背景 オーストラリア議会は、イギリス議会の質疑応答や辛辣な審議スタイルを継承するが、エチケットには少々欠けている。

●注目の事件 オーストラリア政治では、多彩な罵り言葉はある種の芸術と見なされる。その点、ポール・キーティング元首相は文句なしの名人で、反対議員を「クズ」「やじ馬」「口汚い犬」「賢いこじき」「ノータリン」などとこき下ろした。

 現首相のケビン・ラッドは、今年2月に洪水の被災地を訪れるために質疑応答をすっぽかそうとした。すると野党陣営は、ダンボールで作ったラッド人形を議会に持ち込み、毒舌を浴びせた。


Reprinted with permission from www.ForeignPolicy.com, 09/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港高級オフィス市場底打ち IPO急増で本土・外資

ビジネス

ヘリウム、米国からの代替調達等で中東分と同程度確保

ワールド

豪、重要産業に10億豪ドル無利子融資提供へ 燃料高

ビジネス

投資ファンドの3D、カシオ計算機株を大量保有 5.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中