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うつ病リスクが高い4つの仕事――性格ではなく「環境」が原因だった

2025年9月19日(金)10時57分
高橋倫宗(精神科医)鬼頭智美(臨床心理士)*PRESIDENT Onlineからの転載
うつ病リスクが高い4つの仕事――性格ではなく「環境」が原因だった

RRice -shutterstock-

<「真面目な人がなりやすい」「心が弱いから発症する」といった通説は誤り。精神科医・高橋倫宗と臨床心理士・鬼頭智美は、自分の感情を抑え続ける感情労働はリスクが高いという>

うつ病になりやすい人の特徴はあるか。精神科医・高橋倫宗さんと、臨床心理士・鬼頭智美さんは「 性格や気質 の問題だと思われがちだが、そうではない。当人の個性とは関係なく、うつ病を発症しやすい仕事がある」という――。

※本稿は、高橋倫宗、鬼頭智美著『うつのケツロン』(ライフサイエンス出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

うつを招く「ストレス」の種類

Q1 なぜうつ病になるのですか?


A うつ病はストレスや脳機能の低下などの複合的な原因によって起こります。自尊心を失うようなストレスが脳にダメージを与え、脳内のセロトニン分泌が少なくなることから発症すると考えられています。


うつ病を簡単に言うと、生きるエネルギーが枯れ果てた状態です。古くから精神分析では、自尊心を失ったことが原因であると考えられていました。自尊心とは、「自分は尊く、世の中に必要な存在である」と感じることです。自分を大切にする心とも言えるでしょう。

実際の調査でも、うつ病の直接の引き金になるのは、自尊心を傷つけられるようなストレスであることが知られています。

また、動物を逃げられない状態にして電気ショックを与え続ける実験(『カプラン臨床精神医学テキスト』)では、「生きるエネルギーを失い、うつ病と似た状態になる」ことが証明されました。

これを「学習された無力感」と呼びますが、人間でも同じことが起こります。例えば、独裁政権下で強制収容所に入れられた多くの人は、自尊心を傷つけられ、生きる希望もなくなり、うつ状態になることが知られています。

患者の脳内で起こっていること

脳科学の分野でもうつ病の原因究明が進められました。

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