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ドライヤーから「有害な化学物質」が空気中に放出されている...「交通渋滞と同レベルの大気汚染」【最新研究】

Doing Your Hair May Expose You to as Much Pollution as Standing in Traffic

2025年9月7日(日)09時15分
ルーシー・ノタラントニオ
ドライヤーと女性

Tumisu-pixabay

<朝のスタイリングが、思わぬ大気汚染源になっているかもしれない...アメリカの研究グループによる発表について>

朝のドライヤーやストレートアイロン、カールアイロンによるスタイリングは、一見無害に思える。しかし、実は交通量の多い高速道路に立っているのと同じくらい、汚染物質を肺に吸い込んでいる可能性がある──そんな警告を科学者たちが発している。

アメリカのパデュー大学のナスラト・ジョン教授とリウ・ジャンフイ氏らの研究チームは、ドライヤーなど熱をともなう10~20分程度のヘアスタイリングによって、100億個以上の微小粒子が空気中に放出される可能性を突き止めた。これらの粒子は呼吸によって肺に取り込まれるおそれがあるという。


この微粒子は呼吸困難や肺の炎症、さらには認知機能の低下などの健康被害を引き起こすことがあるとして、ジョン教授は次のように述べる。

「非常に憂慮すべき結果です。市販の一般的なヘアケア製品を使用するだけで、これほど多くのナノ粒子が発生し、吸入されるとは想像もしていませんでした」

「典型的な」ヘアケア習慣とは?

今回の研究で想定されたのは、10分から15分程度の一般的な髪の手入れだという。市販のヘアクリームや髪用美容液、スプレーなどと、ストレートアイロンやカールアイロンなどの熱を加える機器を組み合わせたものであるとジョン教授は本誌に語る。

実験では、ヘアクリーム、髪用美容液、髪用ローション、スプレーなど5種類の異なるヘア製品を用い、3種のスタイリング器具を使用し、「日常的なヘアスタイリング」を再現した。

その過程で放出される揮発性・半揮発性成分、特に「環状シロキサン(cyclic siloxanes)」と呼ばれる化学物質が加熱によって気化し、華氏300度(摂氏約150度)以上の高温に達した器具に触れることで、超微小なナノ粒子へと変化することが判明。ジョン教授は次のように述べる。

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