悪夢が「細胞を老化」させる可能性...週1回以上で「早死リスク」にも?【最新研究】
Nightmares Linked to Earlier Death — Study

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<死亡リスクが3倍に跳ね上がる...睡眠中の現象にとどまらず、悪夢が心身の慢性的ダメージのサインである可能性について>
悪夢は単なる厄介ごとではないかもしれない。最新研究によると、悪夢による身体に与えるストレスの負荷が、早死の一因となる可能性があるという。
米国睡眠医学会(AASM)によれば、成人の約85%が「時々、悪夢を見る」と回答。インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の神経科学者であるアビデミ・オタイク博士による今回の研究では、悪夢の頻度が高いことが早死にの一因となり得ることが判明。本研究は6月に欧州神経学会(European Academy of Neurology)で発表された。
本誌の電話取材に応じたオタイク博士によると、本研究はアメリカとイギリスの2カ国の8歳から86歳までの18万人以上を対象に、6つの大規模研究をもとに19年間追跡調査したものだ。
子供も大人も、悪夢の頻度が高い人ほど老化が早く進む傾向があることが判明したという。オタイク博士は次のように述べる。
「月に1回未満しか悪夢を見ない人と比べ、毎週のように悪夢を見る人は、早死にする可能性が3倍以上高いことが示されました」
悪夢が早死につながる要因は大きく2つある。ひとつは「強烈な心理的ストレス」だ。オタイク博士は次のように述べる。
「夢を見ている間、脳は現実と非現実を明確に区別できません。そのため、現実で脅威を感じたときに起きる『闘争・逃走反応(fight-or-flight response)』と同じ反応が、夢の中でも起きてしまうのです」
また、悪夢はストレスホルモンであるコルチゾールを分泌させ、それが細胞の老化を早めるという。
もう1つの早死につながる要因は、悪夢によって睡眠が妨げられることだ。オタイク博士は次のように指摘する。