最新記事
BOOKS

盲信しないで疑ってみる...「我思う、ゆえに我あり」のデカルトは、疑いまくって後の科学を発展させた【3分だけ哲学】

2025年5月1日(木)11時30分
富増章成

物体の本質は幾何学的に規定される三次元の量としての延長(空間を占めること)です。延長とは無限に分割可能な連続体です。ここでは、物体が空間を占めていますので、真空は認められません。

つまり、この世界に隙間はいっさいないということになります。精神の入る余裕はもうありません。だから、幽霊の存在などありません。こうやってデカルトは、物体から精神的要素をすべて排除して機械としての世界観を確立しました。

アリストテレス・キリスト教哲学の目的論的世界観に対して、これを機械論的世界観といいます。デカルトによれば物体の本質は延長ですから、物体はみずから運動する力をもちません。機械論的世界観は、神が最初のひと突きをしたことによってビリヤード玉が次々と運動をし始めてこの世界が動いているというようなイメージです。ビッグバンがイメージできそうな感じがします。

また、神は(永遠・不変だから)、恒常性という性質をもっています。よって物体もまた恒常性、つまり慣性をもっています。こうして世界は1度動き出したらあとは永久に運動するという「慣性の法則」が導き出されます。「私は考える、私はある」から「慣性の法則」がでてきてもよいのです(自然哲学だから)。

この後、スピノザ、ライプニッツらが合理論哲学をさらに展開させて、壮大な世界像を構築していきました


富増章成(とます・あきなり)

河合塾やその他大手予備校で「日本史」「倫理」「現代社会」などを担当。中央大学文学部哲学科卒業後、上智大学神学部に学ぶ。歴史をはじめ、哲学や宗教などのわかりにくい部分を読者の実感に寄り添った、身近な視点で解きほぐすことで定評がある。

著書に『超訳 哲学者図鑑』(かんき出版)、『読破できない難解な本がわかる本』(ダイヤモンド社)、『図解でわかる! ニーチェの考え方』『図解 世界一わかりやすい キリスト教』『誰でも簡単に幸せを感じる方法はアランの「幸福論」に書いてあった』(以上、KADOKAWA)、『日本史《伝説》になった100人』(王様文庫/三笠書房)、『オッサンになる人、ならない人』(PHP研究所)、『哲学の小径―世界は謎に満ちている! 』(講談社)、『空想哲学読本』(宝島社文庫)など多数。

この世界を生きる哲学大全の書影
『この世界を生きる哲学大全』
富増章成[著]
CEメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豪中銀、政策金利を4.10%に引き上げ 僅差で決定

ワールド

FRB議長の召喚状差し止め判断、政権が見直し求め申

ワールド

トランプ氏「イラン報復予想外」、情報当局は事前に警

ビジネス

日産、米国産SUV「ムラーノ」を「逆輸入」 27年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中