最新記事
株の基礎知識

新NISAで人気「オルカン」の、実は高いリスク。投資初心者こそ「債券」を買うべき理由

2024年10月4日(金)17時30分
榊原佳子 ※かぶまどより転載
投資をする日本人家族

RRice-shutterstock

<オルカン(全世界株式型投資信託)一択で安心している人もいるが、「株式市場に『すべて』を委ねる」リスクを理解しておいたほうがいい>

「オルカン(全世界株式型投資信託)はリスクが高い」と聞いて、「え!? 初心者向けのインデックスファンドじゃないの?」と驚く人もいるでしょう。そういう方は、「株式市場に『すべて』を委ねる」ということのリスクを理解しておいたほうがいいかもしれません。

そのリスクを軽減するために検討したいのが、ちょっと地味な金融商品「債券」です。生活にあまり馴染みがないためよく知らない方も多いかもしれませんが、実は債券は、初心者の心強い味方です。

「オルカン」が人気の理由

新NISAを活用した投資先として人気の「インデックスファンド」は、日経平均株価やS&P500などの指数(インデックス)に連動するよう設計された投資信託です。特定の企業の業績などによって株価が動く株式と違って、市場全体の成長に合わせてファンドの基準価格も上下します。

アベノミクス(2013〜2020年)の後半頃から、日本でも優良なインデックスファンドが増え、選択肢が広がりました。

以前は、株式と債券、REIT(不動産投資信託)などを組み合わせた複合型のインデックスファンドが主流だったように思いますが、近年は、「オルカン」とも呼ばれる全世界株式型が人気となり、多くの同様のインデックスファンドが誕生しています。

全世界株式型が人気を集める理由は、主に3つ考えられます。

■手数料が安い

最も大きな理由は、信託報酬などの手数料の低さです。人気のeMAXIS Slimシリーズがその代表例で、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は「オルカン」の愛称で親しまれています。

他にも数多くのインデックスファンドが低コストを実現しています。低コストであることは、長期投資においては大きなリターンにもつながるため、投資信託を選ぶときの重要な基準として注目されます。

■初心者でも理解しやすい

次に、商品内容がわかりやすいという点も、全世界株式型が人気となった背景にあります。

投資対象は株式だけ、というようにファンドの設計が明解だからです。そのため、ニュースで日本やアメリカの株式市場の情報を見るだけで、自分が投資しているインデックスファンドの値動きを直感的に理解することもできます。

反対に、債券はあまり馴染みがなく、仕組みもわかりづらいこともあって、株式ほど注目されないように感じます。

(参考記事)新内閣で相場はどうなる? 上がっても下がってもプロが監視を続ける銘柄とは

■高いリターンを期待できる

全世界株式型インデックスファンドの魅力として、期待できるリターンの高さがあります。

債券などと比べると株式市場は成長性が高く、それゆえリターンも大きくなります。その分、当然リスクも大きいのですが、近年のインデックスファンドは優良なアクティブファンドにも劣らない高いリターンを出しています。

しかし、株式市場の急落に慣れていない初心者の方にとって、リスクの大きさは精神面で心配なポイントにもなるでしょう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡りトランプ氏との会談求める

ワールド

タイ・カンボジア両軍、停戦へ向け協議開始 27日に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 6
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 7
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中