最新記事
事業継承

200万円で買った会社が月8万円以上の利益に 楽に稼げる会社と絶対買ってはいけない会社、見分けるポイントとは

2023年9月12日(火)19時34分
三戸政和(事業投資家、ラジオDJ) *PRESIDENT Onlineからの転載
ノートパソコンを見る男性

写真はイメージです PHOTOBUAY - shutterstock


個人が後継者のいない中小企業を買収するケースが増えている。どんな企業が狙い目なのか。スモールM&Aブームを牽引した事業投資家・三戸政和さんは「その判断は千差万別。それでも、『買いやすい会社』という見立てなら確かに存在する。そのポイントは4つある」という――。

※本稿は、三戸政和『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

1円でも会社は買える

2018年に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』を刊行し、シリーズ累計20万部を突破、日本に一定の「スモールM&A」に関するムーブメントを起こすことができたと自負しています。

あれから5年、いまではすっかり「個人が会社を買う」ということがマーケットに定着しつつあります。

そして、この間、同時に「300万円で本当に会社は買えるのか?」と何度も聞かれました。

誤解を恐れずにいえば、書籍タイトルの「300万円」という金額は、あくまでキャッチコピーであって、「300万円の自己資金を用意し、300万円程度で売りに出ている会社を買いなさい」という意味ではありません。

こう書くと、「やっぱり三戸は適当なことを言っていたのか。300万円で買える会社なんてロクなものがないんだろう......」と思われるかもしれません。

でも、そうではありません。300万円あれば買える会社はたくさんあります。それどころか100万円でも、10万円でも、なんなら「1円」でも買える会社は存在します。

貸し会議室の運営会社を買ってみた

たとえば、私の「サラ3サロン(サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン)」に通っているメンバーに会計士Pさんがいます。

Pさんは、大手の監査法人を10年ほど前に辞めて独立しました。そして、200万円で貸し会議室を運営する会社を買いました。

本業があるので時間をあまり取られず、横展開が可能な業種ということで、コインランドリーや民泊の会社を探すなかで貸し会議室の会社に目をつけたわけです。

机や椅子といった備品と予約サイトのIDなど運営の仕組み一式、それらに紐(ひも)づく既存顧客を譲り受けています。その時点で、この会社の収支状況は売り上げが月17万円ほど、利益が月4万円くらいだったといいます。

「稼働率」が経営改善のポイントだった

Pさんによれば、会議室全体の稼働率は5割くらいで、深夜は基本的にゼロ。午前中は、平日の利用がごくわずかで、土日は5割。午後は、平日の日中が5割で、土日が約7割。夜は平日の稼働率がよく、土日は少なかったそうです。

そこで、買収後に稼働率が低かった深夜の利用料と平日の午前中の利用料を値下げしました。それにより、深夜は意外にも「仮眠用」として会議室を利用する人が増えて、稼働率が上がりました。

次に、販促の一環として、リピーター確保のために、会議室に名刺サイズのパンフレットを用意。そこに、二次元バーコードと半額オフクーポンをつけました。

二次元バーコードを読み取れば、そのまま予約サイトへ飛べるようにしたのです。さらに定期利用は20%引きというお知らせもつけました。もう1つ、新規利用者獲得のためにA4サイズのチラシを用意。業者を使って、会議室付近のオフィスエリアにポスティングしてもらったそうです。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ステファニク下院議員、NY州知事選出馬を表明 トラ

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ

ワールド

イラン大統領「平和望むが屈辱は受け入れず」、核・ミ

ワールド

米雇用統計、異例の2カ月連続公表見送り 10月分は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中