「アポロ・シアター」91年目の大改修へ...オバマも立った、あの舞台が進化する
Resetting the Stage

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<ハーレム地区の「顔」であり、多くの黒人アーティストを世に送り出してきた名門劇場が1年かけて生まれ変わる...>
ニューヨーク市内はどこでもそうだが、ハーレムは常に変化のただ中にある。街の歴史を守ろうという意志とともに再開発が進んでいるのだ。その代表的な存在がアポロ・シアターだ。
その歴史をひもとくと、前身は名前も異なる白人専用の劇場だった。ハーレムで増加しつつあった黒人住民向けの劇場「アポロ・シアター」として再スタートを切ったのは、1934年のことだ。
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アポロはハーレムの黒人文化の礎になった。エラ・フィッツジェラルドやジェームズ・ブラウン、サミー・デービスJr.など多くのスターがここから巣立っていった。
数多くのコメディアンや俳優はもちろん、アメリカ史上初の黒人大統領になる前のバラク・オバマ(当時は上院議員)もこのステージに立った。
アポロは大規模な改修・増築の新たな段階に入るため、7月から約1年間、休業する。この大改修によりアポロが「芸術と黒人の歴史にとって困難な時代」を乗り越えて先に進んでいくことを関係者は願っている。
「われわれは黒人差別や政治不安、パンデミックといった時代を生き延びてきた。つまりさまざまな出来事がアポロをアポロたらしめており、その多くは、アポロの歴史やレガシーと深く結び付いている」と、アポロの最高事業成長責任者を務めるジョイ・プロフェットは本誌に語った。