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中国、EU産ブランデーに関税 価格設定で合意した企業は免除

2025年07月04日(金)21時39分

 7月4日、中国商務省は、欧州連合(EU)産ブランデーの輸入について、5日から5年間、最大34.9%の関税を課すと発表した。写真はEU旗と中国国旗。2025年3月、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Casey Hall

[上海 4日 ロイター] - 中国商務省は4日、欧州連合(EU)産ブランデーに対するダンピング(不当廉売)調査の最終結果を発表した。不当な行為があったとして5日から5年間、最大34.9%の関税を課す措置を決定した。ただ、価格設定で合意した企業は課税を免除するとし、ペルノ・リカールやLVMH、レミー・コアントローなど主要コニャックメーカーへの課税は見送られた。

中国は、EUが中国製電気自動車(EV)に追加関税を導入したことを受け、フランス産コニャックを中心に欧州産ブランデーに対する反ダンピング(不当廉売)調査に乗り出した。ロイターは先週、フランスのコニャックメーカーが中国と最低輸入価格の設定で暫定合意したと報道した。

中国商務省は4日、最低価格を約束していない企業、または約束した最低価格に違反した企業には5日から5年間、最大34.9%の関税を課すと発表した。また暫定関税が課された2024年10月以降にブランデー製造業者が支払った預託金も返還するとした。業界関係者によると、預託金返還問題は特に小規模生産者に大きな負担となっており、数カ月に及ぶ交渉における懸案の一つだった。

最低価格の具体的な水準は不明。中国とEUの交渉に詳しい業界関係者は、最低価格の取り決めは値上げにつながるが、引き上げ幅は小幅になる公算で、店頭価格に影響が出るかどうか現段階では判断できないとしている。

EU報道官は、関税は不公平かつ不当だと批判した。

フランスの業界団体「全国コニャック協会(BNIC)」は声明で、最低価格の合意は加盟企業にとって反ダンピング関税ほど「不利ではない」が、それでもなお反ダンピング調査実施前と比較すると不利だと指摘した。

レミー・コアントローは声明で、最低価格約束に関する合意は「大幅に懲罰性が軽減された代替案」となり、これにより「中国における一部の投資強化」が可能になると述べた。

コニャック業界団体のデータによると、中国への月間コニャック輸出は貿易摩擦により最大70%も減少している。

ロイター
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