元東方神起のジェジュンやノーベル賞作家のハン・ガンが紹介...美学者の日記の言葉が感性のある人の心を打つ理由

スワンソングとは、死ぬ間際 の白鳥は最も美しい声で歌うという伝説から生まれた言葉(画像はイメージです):onkelglocke_pixabay
<韓国の哲学アカデミー代表などを務めた美学者キム・ジニョン氏は、2017年7月、がんの宣告を受け、日記を綴り始めた。記録は死の3日前まで続いた>
〈【1】:朝のピアノ。ベランダで遠くを眺めながら、ピアノの音に耳を傾ける。わたしはこれから何をもってしてピアノに応(こた)えられるのだろうか。この質問は妥当ではない。ピアノは愛である。ピアノに応えられるもの、それも愛あるのみだ。(出典:『朝のピアノ』)〉
日記はピアノの調べが聞こえるごく当たり前の朝の描写から始まる。しかし、噛み締めて読めば、死期を知った美学者の世界を愛する覚悟とも受け取ることができる。この日から13ヶ月、死の3日前までの日々を記録した韓国の美学者キム・ジニョン氏の散文集がこのたび邦訳された。『朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』』(小笠原藤子訳、CEメディアハウス)である。
ハン・ガンやジェジュンをはじめ、著名人が紹介
本書は韓国では、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガンや人気アーティストのジェジュン(元東方神起)をはじめ、多くの著名人に愛されてきた。ハン・ガンは「毎日読んでもいい本」と評し、ジェジュンは己を愛し奮い立たせるような一節をインスタライブで紹介した。オーディオブックの朗読を務めた女優イ・チョンアは〈ひとつの季節を生きるにも、草たちはこれほどまでに実直で完璧に、生を生きる〉という一節に感銘を受けたと語る。
また、SUPER JUNIORのイェソンは、『朝のピアノ』からの直接引用であるかは定かではないものの、同書でキーセンテンスとして何度も繰り返されるカフカの日記からの言葉〈あらゆるものは来ては去り、また来る〉をSNSで引用していた(現在は閲覧不可)。