最新記事

トレーニング

ジム不要の「囚人筋トレ」なら、ケガなく身体を鍛えられる!

2018年5月10日(木)16時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

South_agency-iStock.

<監獄で「自重トレーニング」を積み重ねた男は、関節やグリップ(握力)を疎かにしなかった――。元囚人による筋トレ本『プリズナートレーニング』続編が教えてくれること>

昨年の夏、日本で刊行されて大反響となった『プリズナートレーニング』(ポール・ウェイド著、山田雅久訳、CCCメディアハウス)という本がある。

話題を呼んだ理由のひとつは、「ジム通い不要」「ダンベル不要」「プロテイン不要」と、近代的トレーニングに必須だと思われてきた要素をことごとく否定している点だ。

理由のもうひとつは、著者に何のインストラクター資格も学位もなく、それどころか「元囚人」であるという希有な事実である。

度重なる薬物犯罪の過ちによって刑務所の入退を繰り返した末、著者が延べ約20年にわたる監獄生活で身につけたのは、おのれの体ひとつで、外見と機能ともに究極の肉体を創り上げる「キャリステニクス」、すなわち「自重トレーニング」であった。

なぜ「グリップ(握力)」と「関節」なのか

「人生100年時代」といわれるようになった昨今、世間で定着しつつある健康ブームの一環で、特に筋力トレーニングを始める男性が増えてきた。

腹筋が6つに割れて見える「シックスパック」や、鍛え上げられた大胸筋や広背筋によって形成された「逆三角形」の上半身に憧れ、ジム通いを始める人も多い。

しかし、『プリズナートレーニング』の著者、ポール・ウェイドが述べる事実は一貫している。


 もし次のような話を聞きたいなら、この本を読むと時間の無駄になる。

・ウェイトを挙げろ
・10レップス3セットが基本
・ストレッチしろ
・1日6回食べろ
・プロテインを飲め

 わたしはこんなことは言わない――実際、わたしが口にすることのほとんどが、現代のフィットネスシーンがアピールする内容とは真逆になる(だから、効果があるのだが)。

これは、著者の新著『プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』(山田雅久訳、CCCメディアハウス)からの一節だ。

著者は前作『プリズナートレーニング』で、胸・肩・背中・腹・太もも・上腕の筋肉を自重トレーニングのみでバランスよく鍛え上げる方法を伝授しているが、この続編でわれわれに指南してくれるのは「グリップ(握力)」と「関節」の鍛え方である。

率直に言うと、地味な印象をぬぐえない。見栄えのいい肉体を手に入れたい筋トレファンの心に、どれだけ刺さるのだろうか。

しかし著者によれば、グリップや関節にまで気を配りながら鍛え上げることで、見せかけだけではない、真に強靱な体を創り上げることができるのだ。そして、そのセルフコントロールは、むしろ器具を使わないからこそ有効だという。


どこのジムに行っても、バーベルを挙げる時の助けにするため、リストストラップとフックを使う男たちを見かける。"もっと" 挙げられるようになるからだ、と彼らは言うが、それは違う。確かに腕はその重量を挙げている。しかし、手にはその重量を挙げる力がない。つまり、実際には挙げていない。肉体的な能力を解き放つのにストラップやフックがいつも必要だとしたら、それはおかしな話になる。ニセモノの習慣をつくるし、強さだって見せかけだ。(30~31ページ)

ある道具やシステムの「強度」を考えるとき、基準とすべきなのは最も弱い部分である。著者によれば、「どんなシステムでも、たとえそれが単純なチェーンであっても、もっとも弱い連結部分がそのチェーン全体の強さを決める」のだ。

【参考記事】ジム通いもプロテインも不要な「塀の中の筋トレ法」が日本上陸

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中